ハンス・ジマーのMasterClassを受講してみた・2

ハンス・ジマーのMasterClassを受講してみた・2

Hans ZimmerのMasterClass受講記、今回は2日目〜4日目の話です。

1日目はチュートリアル的な感じだったのですが、2日目からは思ってた以上に実践的、かつめっちゃ貴重な授業内容でした。

ということで、自身が忘れないようおさらいしていきます。


Hans Zimmer MasterClass2日目〜4日目

2日目は具体的な作曲法、3日目は「ストーリ」の話、4日目は「監督との付き合い方など」の話でした。

2日目・ハンスの作曲法

基本的には「Q&A」という形で作っているようです。Question and Answer、訳すと「問いかけと応答」ですね。

最高に汚い譜面で申し訳ないが、例で弾いてたのを書きました。
q&a

一番上の行、1小節目がQ、2小節目がA。下2行は、上の行がQ、下の行がA。

メロディ(動画では”Theme”テーマと説明してた)の構成として、何かを問いかけるようなものと、その答えになるものをセットにするんだそうです。

時にはAを繰り返し登場させたり、Qを繰り返し登場させてからAを出したり。Aもhalf Answer…サブドミナントで終わるようなメロディだったんですが、そういった形でちょっと半端にしてみたり。でも基本は、Q&A。

そして、そのQ&Aは短く、できるだけシンプルにする。例でインターステラのテーマを紹介したけど、あれは人差し指1本で演奏できるような、実にシンプルなテーマを元に作曲している。

また、ハンスは基本、転調を行わない。これは聞いてても分かりますね。たまにテーマ、Qの時にスケールアウトするノートを出現させてQを発展させ、でも結局元の調のAに戻す。という技法を使う。

というのが2日目の話でした。なかなか濃いし、なるほど今までの自分の曲が如何にとっちらかってるかってのが、よく分かりました…。

3日目「ストーリ」

コンポーザの仕事は、ストーリを語ることだ。から、この講義は始まりました。

監督の作る台本をよく読み、その映画の世界の中に生きる、というところから始める。作曲にはルールを決め、それを決して放棄しない。

そのルールというのが、映画の世界のルール。

例えば、シャーロック・ホームズでは「常に知的な紳士でいること」というルールを設けた。これはもう、シャーロックがブリテンの探偵だから、ですね。

こうすることで、話に沿った曲のアプローチも考えやすくなるし、全く違うカラーを持ち込むこともなくなる。

というのが大体の話。今度、めっちゃ役に立ちそうな話で、実際に映像に沿った曲の書き方とかも説明していました。

ショートフィルムは今年始め頃に手伝わせていただいたけども、うまく世界に馴染めてなかったかなぁ…と今になって思います。作るので精一杯ってこともあったけど。

4日目「監督と作曲家」

正確には、6日目までセットです。Directorsという話を3部構成にしていたので。

監督との付き合い方の話です。作曲家は監督にとても近い存在でなければならない、というのが要点。

監督との会話は「音楽は映画にどんな効果をもたらすか」とかっていうことだけを話し、予算とか時間がとかっていうのは話さない。これは監督のインスピレーションを阻害してしまうから。そういう現実的な話はプロデューサーとしようね。

また、作曲家は映画にどんな音楽を付けるかーとかっていうのをリードしていく”duty”義務がある、とも。映画を実際に撮り始める前から音楽を用意し、こんな感じでどうだろう?というアプローチをすると、より監督の頭の中の完成形がすっきりとする。ブレなくなる。そこでThemeが決まれば、今後の音楽制作も当然進めやすい。

音楽の話をするときも専門用語は使わない。Coolな雰囲気がいいかな?いや、ここはアツい展開で!とか。

Temp music(既存の楽曲を映像に貼ってガイドにする手法のこと)は使わない。自身の自由やクリエイティビティを制限してしまうので、常に映画専用のものを、作る。自分の直感を信じろ!

大体こんなところでした。あの監督はこんなものが好きでー、実はあの監督にハンス嫌い!って言われたーとか、そんなことも言ってました。よく、お前の音楽嫌いだ!って言われてから仕事に入れたな…。

これはもっとずっと、私にとっては後の話になるかなーって思った話でしたが、凄く勉強になりました。Temp musicを好む作曲家ももちろんいるとのことですが、ハンスはやらないよって。


そこそこ端折ってますが、2日目〜4日目の話でした。かなりの本数、映画をこなしているハンスだからこその話でした。結局はコミュニケーションなんだなぁ…。毎月、忘れないために見ておきたいなって内容です。

また今後も3日分くらいを目安に記事にまとめます。英語理解しながら話聞いたり文章読んだり、ここに書くために訳したりするの大変ですが、まぁ、頑張ります。頑張りましょう。