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海外の方とアニメ制作の仕事して学んだこととイメージと違ったこと

人生初の劇伴制作は、ニューヨークのアニメーターからの依頼でした。

今回の記事、さてどう書こうか悩んだのですが、とにかくこの一文に限るなと何度か書き直してたどり着きました。自分的にはかなり強烈な一文だな、と思ってます。でも本当にこの通り。

海外の方と仕事するなんて平々凡々生きているとそうないか体験かと思うんですが、今回のことで学んだこと、イメージしてたものと違ったこと、色々あったので書いて残しておきます。


学んだこと、イメージと違ったこと

まず初めに、今回私に依頼を投げて来た彼はニューヨークのアニメーター(学生)であることと、そのやり取りは全てメールで行われたこと、というのを書いておきます。

さて、それぞれいくつかあるので列挙します。詳細は後に書いてます。

学んだこと

・とにかく作る早さ、引き出しの多さが必要
 何よりこれ。乏しい私は超しんどかった。
・楽曲制作の計画を練る
 いかんせんアニメ劇伴なんて初めてだから、これは苦労した。
・ハッキリとモノをいうことの大切さ
 「伝われ」じゃ伝わらない。
・案外、英語はどうにかなる
 中学生レベル(もしかしたらそれ以下)の私でも大丈夫でした。
・あっちの人の方がちゃんと依頼料出してくれる
 これはもう、なんとも言えん。

イメージと違ったこと

・デッドライン症候群は万国共通?
 彼の言う限りじゃだいぶ余裕あったはずなんだが。これは笑った。
・ミキシングはかなり真ん中寄り、そしてウェット
 まさかあっちの先生の意見までもらうことになるとは。後ほど。

大体こんなもんかな。では順に詳細を書いていきます。


学んだことはこれからの課題でもあるわけで

前半はおよそこれからの制作で活かせることであって、別に海外だから云々って訳でもないかなと思います。

前半というのは下記。
・とにかく作る早さ、引き出しの多さが必要
・楽曲制作の計画を練る

はじめに私が彼から貰ったアニメの「情報」は、どんなキャラクターがいて、そのキャラがどんな背景を持っているのかとか、どんなシーン・内容であるかという話とかでした。

よくアニメ制作やら映画制作やらでみる「ストーリーボード」なるものを初めて見たよ。あれだけでも十分面白いのね。

んで、そのストーリーボードから「何曲くらい必要か」「どんな雰囲気の曲を作るか」ってのを先に提示しました。どんな雰囲気ってのは彼から先に言われていたのでそれに準拠するとして、5〜6曲じゃん?って言ったら「OSTアルバム作れるね!!」って言われました。確かに。

ただここからが難しくて。

私がそのストーリーボードを見て想像し作ったオープニングの曲が、彼的にはエンディングの方がイメージに合うなぁとすれ違ったり。急遽オープニングシーンが増え、逆にエンディングのシーンが一部カットになったり、なんとまぁ締め切りギリギリまでこれが続く。

ついでに、当然ストーリーボードと実際につくるアニメーション(今回は3DCGモノでした。すっごく綺麗な画だったよ)とは尺が全然異なってくるため、「動画の尺やリズムと曲が合わないね」「ここの数秒間はもっとこんな風にしてほしい」って話になり、拍やらBPMやらあるいはフレーズ追加やら削除やら結局新しく作り直しやら作業が増える増える。勘弁してくれ…。

と、まぁこんな具合に「作っては投げ、修正してまた投げ、修正しては投げ」の繰り返し。先週のことでしたが、本当に時間が長く感じました。

当然、これは期限付きなので、「如何に早く、かつ相手のイメージを再現できるか」という技術が必要になってきます。これが作る早さと引き出しの話。

そして見えてくる反省点として、できるなら先にアニメーションを作り切ってもらい、こちらが映像に合わせて作曲した方がここまで頻繁な修正はなかったんじゃないかな…ってこと。これが計画を練るという話。

次にこの2つ。
・ハッキリとモノをいうことの大切さ
・案外、英語はどうにかなる

日本って結構、読み取れよみたいな風潮あるかと思うんですが、もちろん今回はメールでのやり取りだからってのもあるんですが、とにかく思うことはガンガン言わなきゃダメ。これはちょっと恥ずかしいなってのも全部。

例えば私は海外の人と何か共同で仕事をすること、初めてアニメの劇伴を作ること、まして利用規約を書くだなんてやったこともないこと。他にもたくさん。

それから単語がわからない・言っていることがわからないことをスルーしない。こちらができること、できないことは言う。今日中の修正なんてお前これ、間に合わねえよ!って怒る。ああこれがコミュニケーションってやつかいねと思いしった。

「本当に君の曲は素晴らしい!」と言われたら「ばっかお前やめろよ!…ありがとな」と返す。「いつか俺が日本に遊びに行った時はビール飲もうな!」と言われたら「すまんビールは飲めない。ラムコークならいいぜ」と返す。これはまぁ別にいいか。

そしてこれらのことを、もちろんグーグル翻訳っていうめちゃくそ便利なものも使ったけど、とりあえず私みたいな日本語ですら怪しいやつでもやり取りはできる。大丈夫だ、なんとかなった。

最後。
・あっちの人の方がちゃんと依頼料出してくれる

あんま書くと怒られそうね、これ。

イメージと違ったこと

これはまぁ私の勝手なイメージだから、対して重要じゃないかな。

・デッドライン症候群は万国共通?

彼の設けた期限が4/12だったかな。これに対し、映像の最終版が来たのは大体1週間前とか。

「1週間あれば余裕じゃね?」って考えた自分含め諸君、甘いぞ。

この時点で頭から終わりまでの曲を大体作り終えていたため、映像に合わせるだけっていう状態ではあったのだが、実際は「曲を送って相手がレビュー、修正箇所を貰って修正したら返してまたレビュー」となるのが大体なので、要するに制作は3日間で済ませないと間に合わない。

しかも今回は凄い。動画に合わせてSE付けもしなきゃいけない。二人分の足音があって、モンスターの声があって、えとせとら。これの修正も当然あった。…無理だろ。

間に合わせましたけどね?

結局、彼は最後の最後になって「より完璧を目指したいんだ」と言い出し、恐らく学校提出の期限だろうその日まで私に修正依頼を出し続けました。

ちょうど今、M3特集のラジオ編集をしていて思ったんだけど、ああ海の外でもデッドライン症候群ってのはあるんだなって、なんかしみじみ思いました。進捗いかがですか?

・ミキシングはかなり真ん中寄り、そしてウェット

まさか彼の教師から私に音作りのアドバイスが来るとは思わなかった。

彼が完成間近のモノを教師に見せたところ、「もっとリバーブを強く、音(主にSEかな)は真ん中に」といわれたみたいです。

音を真ん中にするっていうのは、映像を見る人が必ずしもイヤフォン・ヘッドフォンではないため、あまり左右に散らし過ぎると聞きづらくなってしまうため。意味を込めた左奥の小さな音も、意味がなくなりました。これはちょっとショックだけどまぁ、その通りだし仕方ない。

前に演劇用の楽曲制作する人に聞いて貰ったときは「ウェット過ぎる」と言われたため、リバーブを強くって言うのは結構びっくり。

確かにあっちの劇伴をよく聞くとかなり強めのリバーブをかけていることに気がつく。いつもの10%じゃ足りないらしく、結局40%近い割合の濃いリバーブをかけてOKになった。そんなに強くして、音がボケないかしつこくないか心配なんだけど、どうもこれでいいらしい。


たぶん次は大丈夫

以上が学んだことと違ったことでした。もしかしたらもっと書けることがあるかもしれないんですが、あんまり事細かに書くのも仕事のやり取りですし、よくないかと。

早さや引き出しの多さはこれからずっと身につけていかなきゃいけない技術です。計画を練るのはまぁ中々こちらから提案するのは難しいかと思うんですが、確実に映像先の方が修正はしやすいです。リバーブなどの音作りはどうも日本とは違う傾向にあるので、要研究。実際に仕事しないと学べないし、身につかないですね。

またあっちから仕事来ないかな。一度苦労したし、次は大丈夫。と思いたい。

最後に

これは前にも書いたのですが、ニューヨークの彼は私をSoundCloudで見つけました。そして私たちにメールを送りました。

本当に何がどう当たって繋がるか分かりません。ぜひこの記事をここまで読んだ方にもこんな機会があることを願ってます。

ilodolly
Epic/Cinematic music composer

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