作曲家は農家なのかなと思ったよっていう話

「俺らミックスやらレックやらをやる側はさー、もー大変な訳よ。それに比べたら作曲って楽だよね。作って投げたらおしまいだもん」

そんな嫌味な話を2〜3年くらい前でしょうか、とある場で耳にしたのを覚えています。

その当時の私はボカロPなんだか同人音楽家なのか、よく分からない立場として聞いていたのですが、この言葉を今だに思い出し、悩まされることが多々あります。そのどちらにも成ってしまったから、かもしれません。

今の私であれば、彼にこう答えることでしょう。

「いやいや、作曲家ってのは農家なんで大変なんすよ」

今日はそんな、知恵にも何にもならない話。


別段、私が農家の内情に詳しいわけではないんで細い指摘をされると土下座もんなんですが、作曲家ってのは農家なんじゃないかなーと思うんです。それも酪農ではなく、野菜。

例えばじゃがいも。

じゃがいもって奴は大変困ったことに生命力が大変強く、冷蔵庫の野菜室に入れてても芽を出しやがる。ちんまりと緑の、芽。

割と聞いたことがあるかと思うんですが、それは「ソラニン」という毒素を持っているために、せっかく芽生えた命だが調理前には取っちゃわないといけない。出刃包丁の柄近くの角でやると取りやすいです。

ところで実写のソラニンの宮崎あおい。可愛かったなぁ。ムスタングを持ってボロボロのスモールストーンだったかを足元にざっくばらんに並べるとか、いい趣味してる。綺麗にボードを作らずあえてごろごろ足元に並べる感じ。わかる。楽しいんだよね。ライブ中にパッチケーブル抜けるとかそんなトラブルあったりしてさ。あれは辛い。っていうか何より無垢なあおいちゃんを押し倒すシーン。あれはだめ。俺に代われ。

という話はどうでもいいとして、じゃがいもなんてのはそんな簡単あっさり育つんです。土にぶん投げときゃ育つんです。

そう聞くと、

「じゃあじゃがいも農家ってのは楽でヒマな仕事じゃねえか!」

こうなるんです。

作曲家に対していうのであれば、

「曲書けたらあとはエンジニアに投げて完成待つだけじゃねえか!」

たぶんこんな感じ。

でも実際には、
・じゃがいもを育てる広大な土地がある
・鳥や虫に喰われないための対策をしなきゃいけない
・品種によっては(たぶん)上手く育てる方法が異なる
・早起きしなきゃいけない(私は無理)

えとせとら。もっとずっと、美味しい大きい形が綺麗なじゃがいもを、それも大量に作るには、びっくりするくらいの気苦労があるのかと思います。

そりゃ確かに、1〜2曲つくるくらいなら大したことないと思う。エンジニアごめんと思う。

でも実際にはクライアントがいるならそのクライアントをうなづかせる物を書けなきゃいけないし、「品質のいいもの」を作るにはそれ相応の知識・経験が必要だし、何も作れない時はマジで何も作れなくてめちゃくちゃ精神的に追い込まれてそれが体調に現れ納期の先にあるエンジニア達の苦労を考えると余計追い込まれ段々気が滅入るスパイラルに迷走しお金も入らないから生活も苦しくなってしまい手を伸ばした先にほどよい固さのロープがあって

つまり、作曲家もしんどいんですよってことです。それは農家に似たような、見えそうでみえない、しんどさ。

ついでに言うと、せっかく懇切丁寧に仕上げた「商品」を「やっぱり要らない」で突っぱねられたら?自殺もんだね。

今回のアイキャッチ画像に使ったゴーヤなんて、もっと大変。

ゴーヤの栄養価って、凄いんですよ。ビタミンCがレモンの数倍、食物繊維も含まれ、鉄分、カルシウムも摂取できる。でも調理方法を知らないと、ただひたすら苦くて妙な歯ごたえの青臭い何か。

夏であれば一般家庭でも大量に生産できる上、食べ方を知らない人には超不人気だし、時期がズレるとめっちゃ高い。これを商売にしようとすると大変。知ってる人は自分でゴーヤ作っちゃうし、不味いと思ってる人は全然買ってくれないし。

っていう話を作曲家に例えようとしたけど思いつかんからゴーヤの話はパスで。ゴーヤは調理方法しれば、美味いよ。

あとは柚子、蜜柑、栗とかも例えられるかもしれない。

実家に獅子柚子なる人の頭ほどのサイズになる化け物柚子の木があるんだが、あんなもん木に日光が当たりさえすれば、秋ごろには実がなる。

蜜柑や栗だって正直な話、野放しでも実は付く

よく好きな女の子に向かって栗のイガをぶん投げたっけな。どうして思春期ってそういう、好きな子に嫌がることをするんだろうね?

イガグリなんかより僕はバラを一輪、投げたいな。でも棘あるからやっぱり嫌がられるね。

そしてやっぱり野放しで育つ柑橘や栗も、形がよくて甘いものを大量に作るとなると、それ相応に時間だったり技術だったりが必要なわけで。

そこらへん、レコーディングやミキシングだって同じなのに、どうして彼は作曲家に対して嫌味を言ったのか。

音楽業界に身を置きながら、所詮作編曲ってのは趣味遊びおままごとっていう意識が抜けきっていないんだろうか。

今思うと謎である。

まぁただ、決して馬鹿にする意味を含めて言っているわけではないという前置きをするが、当初のニコニコ動画にいたような月1曲出したら良い方なペースの作曲家は、そう見えるかもしれないですね。

初めはみんな、そうじゃないか。作るって大変なのよ?


長いこと引きずってた嫌味も、ここにダラダラ書いたらなんとなくスッキリした気がします。作曲家もエンジニアも、みんな技術職ですから、蔑み合いなんてやめましょーよ。ね。

ilodollyの思い出とそれに対して思うこと話でした。

ところで、アニメや映画で「あいつらお偉いさんはよぅ、なんら苦労もせずオイシイとこだけかっぱらっちまう卑怯な奴らなんだ」みたいな嫌味を言う三流モブって大体、他に大した台詞も言えず真っ先にくたばるよね。

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Posted by ilodolly