HansZimmerのMasterClass29回の講義を終えて

HansZimmerのMasterClass29回の講義を終えて

実際はオープニング、クロージングを含めて31回あるんですが、その2回は講義ではなかったので29回としました。

今回は、MasterClassがどんな内容だったか、他のコンポーザにも教えといてもいいのではと思った内容、私個人が最も心に残った内容の3つを紹介します。

ちなみに、私の英語レベルは学生時代、平均点以上は取れなかった程度なので、もしかしたら意味が違ってるかもしれないのでご注意ください。詳しくは1万円払って本編をみてね!!

実際に受けてみたときの様子↓
ハンス・ジマーのMasterClassを受講してみた・1
ハンス・ジマーのMasterClassを受講してみた・2
ハンス・ジマーのMasterClassを受講してみた・3


Hans ZimmerのMasterClassとは?

MasterClassとは、動画とテキストを使った、超大物による実践向けのレッスンを提供するサービスです。
https://www.masterclass.com/

その中で、「パイレーツオブカリビアン」や「ダークナイト(バットマンシリーズ)」、最近だと「ダンケルク」の音楽を手がけるコンポーザ、Hans Zimmerのクラスを受講しました。

パイレーツはもう、みんな知ってる曲だと思います。吹奏楽部の演奏を散々聞いた記憶があるので、私はそんなに好きじゃない曲…っていうと怒られるんですが、ほんと。(私は中高テニス部でした)

レッスンの回数は教師によって異なりますが、ハンスは31回でした。シルエットが版権ギリギリ、EDM界で有名なDEADMAU5は23回のようです。

MasterClassはどんな内容だったか

マスタークラスというくらいですので、内容はもうガッツリ「マスターレベル」です。和声がーなんて話はない。DAWも全然いじらない。今まさにプロジェクトに取り掛かってる人向けな話が多いです。

なので、今の私には全く要らない話もありました。例えば生オケを雇って演奏してもらう時の注意点だとか。

逆に、今すぐ実際の制作に落とし込める話も多くありました。その辺りは3つほど記事にしてますので、そちらを参考にしてください。
ハンス・ジマーのMasterClassを受講してみた・1
ハンス・ジマーのMasterClassを受講してみた・2
ハンス・ジマーのMasterClassを受講してみた・3

それから、これは当然といえば当然ですが、多くは「Hans Zimmerの経験に基づくやり方」です。大物映画音楽家はみんなこうやってるぞ!という事ではないです。

例に出してくる音楽はもちろんハンスのものだけで、彼がどうしてこういう音楽を作ったのか、どうやって作ったのかという話が大半です。

グラディエーターの曲が私は大好きなんですが、あれの話はほんのちょっとしかなく、インターステラー、シャーロック・ホームズなどの例が多くありました。というのは恐らく、ハンスの求めた個性が強く出てるから例に出してるのかと思います。

コンポーザが知っておくと良いと思った話

ぶっちゃけるとMasterClassの内容全部なんですが…絞りました。

・オリジナルの「音」を作ることに固執しろ
・音楽は毎日作れ
・音楽家が金に困るのは常だ

1つ目は、オリジナルの音を作ることにこだわれってことでした。プリセットだめかーーーーー!

これは7〜9回目の講義に出てくる内容の総括なんですが、シンセで抽象的な音を自分で作る(しかもその音はそのプロジェクトにのみ使う、セッティングを保存しない)、サンプリングを自分で行なって癖のある音を混ぜる、音色パレットを構築して世界観を作る、ということです。

オーケストラ音源も、売ってるサウンド集も、聞けばどこのメーカーだって分かりますからね…。自分でその辺を構築していかないと、みんな似たり寄ったりな音になってしまうよ、とのことでした。

2つ目は、音楽を毎日作れ、ということです。むりーーーー

椅子に座って自分のマシンに向かって、でも今日は何のアイデアも浮かばないって時でもひねり出せ!!とのことです。ひねり出せとは言ってないかもしれん。

毎日作る音楽ってのはフルスコアで無く、メロディだけ、できそうなら楽器を重ねて、という形で良い。ハンスの場合、1つのシーンに1週間かけていろんなアプローチを出して、週末に聞き直してみる、ということをやってるそうです。いいアイデアってのは、そうした習慣の中から生まれるようです。

3つ目。音楽家は安定した職ではない、と断言しました。お金にならないではなく、安定しない。

また、予算の都合で発想を制限するということだけは絶対にダメだ!と言ってました。400人超のビッグなオーケストラを雇って明らかな予算オーバーなアイデアだとしても、無理だねーと考えるのを止めるということだけは避けなさい。予算で困ったってのは…本物のパイプオルガンを使ったインターステラーとかのことですかね?

また、我々音楽家にプランBはない、と断言してました。音楽を作る以外の道はない。

私個人が最も心に残った話

プランB、ここは私の独房などなど、名言が多いMasterClassでしたが、私が最も印象に残ったのは「Find your story」という言葉です。

これはもう初めからハンスがずっと教えていたことだと思うのですが、とにかく大切なのは「個性」だ、と。

Q&Aという作曲法、シンセやサンプリングを使ったオリジナルの音作り、キャラクターのテーマ作り、演奏家への注文、とにかく教えてることの全てが、ハンスがハンスの「音」と「物語」を作るための方法であって。

重要なのは「自分オリジナルの音を持って、自分の伝えたい物語をオーディエンスに送る。それこそが音楽家の仕事である。」ということ。

音楽は物語のバックグラウンドを伝えられる。例えば、「ホームズが趣味で弾いていたバイオリン」というのは、クラシックだったのだろうか?時代や国柄、恐らくラテン系、ジプシー系を嗜んでいたのでは。

音楽は主人公がどんな人物かを伝えられる。例えば、バットマンはヒーローにはなりきれないダークヒーロー。だからメインテーマはトニックに向かわない。etc

そしてそういう事を伝えるための「自分なりの音楽」というものを、生涯探しなさい。自分の好きな、目標にしたいコンポーザを見つけ、自分の才能を伸ばし続けなさい。と、そういう話。

かっこいいのでもっかい書きます。”Find your story”


私の目標

私はそっと消えてくタイプだと自負してるんですが、ゲームとかドラマとか映画とか、関わって行きたいと考えてます。本物のパイプオルガン鳴らして劇伴とか、作ってみたいよね。

Hans Zimmerの音楽はもちろん好きです。シンセの音もストリングスの音も特徴的で、耳に残る。音も独特ですし、最近の戦争ものアクションものの音楽を築いた人って気がしてます。歴史的に見ると違うかもしれませんが。

でも私が目標にしたいのはAlan MenkenやJames Newton Howardみたいに、単体でも音楽として聞き応えあるものって気がしてます。そこら辺はミックスして頭に入れておこうと思ってます。

とりあえず今は、やるべきことやるしかないですね。