映像音楽を作る時の注意点・映像同期、Sync pointの作り方

映像音楽を作る時の注意点・映像同期、Sync pointの作り方

ブログを閲覧の皆様、明けましておめでとうございます。2018年1発目の記事は、映像と音楽を同期させる箇所”Sync point”の、DAWを使っての設け方についてになります。

前回の記事、「映像音楽を作るときの注意点・ミッキーマウシングについて」でも書きましたが、映画音楽ではよく映像と音楽が同期するポイントというものがあります。

今回はそのSync pointをDAW上に作るにはどうしたらいいか?というお話です。


Sync pointの作り方

私がメインで使ってるDAWがLogic proXのため、今から書く内容は全部Logicを操作しての説明になります。やること自体はさして難しいことでもないので、ご自身のDAWの操作方法をよく復習してやってみてください。

ちなみに、ちょうどタイミングよくSpitfireのトレイラーのコンペがあったので、そちらを使います。
下記リンクより動画をダウンロードしてから、本記事を読むと分かりやすいかと思います。
https://www.spitfireaudio.com/start-scoring-movies-now/

動画をDAWで扱ってSync pointを設置

まずは動画をDAW上に置きます。Logic proXでは、動画を画面にドラッグ&ドロップするだけで、映像と映像に付いている音が入ってくれます。

既にマーカーを一つ置いていますが、こんな感じで動画とオーディオトラックが増えます。後から音楽を付けていくので、いつも作曲するテンプレートを立ち上げて、その上で動画を置くと今後がスムーズですね。

そしたら次はマーカー機能を使って、どこで同期させるかを記していきます。

この、「どこで」というのは自分の裁量になります。動画を繰り返し再生し、ここで同期させたい!というポイントを予め考えておきましょう。

私は上の画像のようにしてみました。並べると、
・スタート地点
・ALBION ONEのインパクトあるパッケージが出るタイミング
・スタジオで録音しているシーンの始まり
・動画終わりの文字がどーんと出るタイミング
になります。

“ALBION ONE”と文字が出るタイミングにも合わせるのか、スタジオの途中でもSyncさせるかなど、色々考えてみると楽しいかもしれません。

中途半端な小節の区切り方

Sync pointを設置すると、どうしても中途半端な小節数になりがちです。4/4拍子のうち、3/4まで来た時に画面が変わる、といった状態です。

画像では3拍目にSync pointが来てしまいました。

そんな時は下記2通りの方法で合わせます。
・各シーンのBPMを変更し、割りのいい小節数になるよう調節
・4/4拍子を一時的に「6/4拍子」などにする

私は大体後者の方法を取ります。するとこんな感じ。

こういった半端な拍子の時は大体、終わり2拍のフレーズを繰り返したりしてます。あるいは、2/4拍子で切って、2拍分で何かフレーズ作ったり。繰り返しの方が割としっくり来ることが大半かな…この辺はケースバイケースです。

そんなこんなで拍数がちょうど良くなるように調整したのが、こちら。

BPMを大きく弄ると妙なノリになるから、私は嫌いです。であれば、BPMを変えずに拍子を変えた方が音楽的にスムーズかなーと。

切りよくする方法は色々あると思いますので、ぜひやりやすい形を見つけてもらえたら幸いです!

全体のBPMの決め方

最後に、そもそもの全体のBPMの決め方について書きます。ハンス・ジマーのMasterClassで教わった方法です。

今回の記事に貼った画像ではデフォルトの120になっていますが、「自分の基準を見つける」と、とてもやりやすいです。

自分の基準っていうのは、自分が音楽を最も作りやすい速さ、自分の生活・行動の速さ、などから見つかるそうです。ちなみに私はハンス大先生と同じ、80前後が一番やりやすいです。あらぁー偶然ねー!

…たぶん一番聞いてるサントラがハンスだから、なんですが。

で、「ゆったりした映像」なら、基準値からBPMを下げる。「早い映像」なら、基準値からBPMを上げる。

映像の遅い早いっていうのは、映像全体の動きがゆったり(人が歩いている、止まっている、走っている、激しい戦闘など)、または主人公・登場人物の心情(落ち着いている、眠っている、呼吸を止めている、焦っているなど)といったことから、決定されます。

今回、私のトレイラーに対するイメージは「やや遅い」で行きたいと思います。やっぱりCinematicを売りにしている音源だし、激しさよりも壮大さ、伸びやかなフレーズが合いそうだなーという気がします。なので、大体75かなーと。平常心よりもクールに、感動的に、込み上げる熱を表現する感じ。

結局は自分の裁量になってしまいますが、自分が一番作りやすいBPMはどの辺か?というのを基準に、程よいところを探してみてください。


Sync point作り方まとめ

・DAWに動画を置く
・自分の基準BPMをセットする
・マーカー機能を使って同期させたい点に目印をつける
・各シーンがちょうどいい小節数になるように拍数、あるいはBPMを弄る

以上のようになります。別記事の繰り返しになりますが、映像との同期は程よく、です。あまり同期させすぎると、映像の表現を邪魔してしまいます。

Sync pointの設置は前準備に過ぎませんが、これを行っておくと非常にスムーズに制作できます。コンペ期間中にぜひお試しください。