制作依頼料を安く見積もって自滅しないための2つのポイント

制作依頼料を安く見積もって自滅しないための2つのポイント

楽曲の制作費、あるいはミキシング、マスタリングの費用って、毎度ながらどれほど請求するのが良いのか悩みませんか?私はめちゃくちゃ悩みます。個人相手にしろ、企業相手にしろ、お金を出す側にも予算ってのがあるわけで。

でもこちらとしても作業に時間をたっぷり喰われる。ついでに名前が載るとなると中途半端なクオリティで出したくはない(経歴として残るからね)。そうなると、それなりにお金貰わないと割に合いません。最近、失敗したばかりってのもあって余計気にしてます。

私なりにこう考えたら良いんじゃないかな?っていうのがあるので、今回はその話です。


制作費用の考え方

結局のところ、その人の技量によって作業の速度やらクオリティやらが変化します。依頼内容から相手の意図を汲み取り、デッドラインを守って納品するっていう点においては特に。

なので、1つの指標として「必ず3日間で作り上げ、2日間でリテイクを終えて納品完了にする」という風に、「制作期間は5日間」と考えたらどうかなと思います。

これは、必ず1週間で納品までを終えるわけでなく、1曲制作にかかる作業時間の目安です。

また3日間の内訳は、メロディやらリフやらの作曲を6時間、打ち込み含め編曲6時間、ミキシングとマスタリング6時間。また、クライアントとのやり取りに取られる時間も考慮してプラス2時間で、20時間と考えています。

そこに加え、リテイクはほぼほぼ発生するので2日間(10時間程度)の余裕を設けておく。これ凄い大事。これのせいでしんだ。

これよりも早く出来る!っていうなら短くしてもいいとは思います。でもそれは苦しくなるので辞めた方がいい…。

作業内訳とお金の計算

もちろん、依頼の内容によりけりです。30秒程度の楽曲なら3日も要らないだろうし、逆に仮歌込みの1曲3分ちょいを3日間はだいぶハードだし、そこは自分とクライアントと調整した方がいい。3日で1曲作れないってのはどうしようか…。がんばれとしか…。

ということで、1曲制作にかかる作業時間の目安は「30時間」だとします。

ここで、アルバイト求人サイト「バイトル」が素晴らしいデータを公表していたので見てみます。全国の業種別の平均時給です。
https://www.baitoru.com/contents/info/20180220_3.html

2018年1月のアルバイトデータらしいです。これの「2.職種別平均時給(2018年1月)」の項を見ると、クリエイター系の平均時給は1,147円らしいです。「制作」でも1,041円です。

ぶっちゃけてアルバイトってのは「その作業に必要な知識が多少なりあれば誰でもいい」っていう人たちです。少し高い時給は何かしらキッツイ仕事か、その筋の専門の人にしかできないものです。

この平均時給を参考に、先ほどの1曲の目安「30時間」と掛け算をして、請求するのはどうかな?というお話です。クリエイターの時給に近い1,100円であれば、1曲33,000円ですね。

自分の技量に対する対価を加える

先ほどの通り、33,000円/1曲ってのはアルバイトの時給で考えた場合です。ただ、アルバイトでも1年働いていれば時給は上がりますよね。それはそれだけのスキルがあるからってことです。50円上がったり、100円上がったり。

併せて述べた通り、アルバイトは誰でも出来る仕事です。

であれば、音楽という専門職は出来る人が限られているという点を加味、歴に対する時給アップという2点を自分にも適応させていきます。

ここで、増やす金額の目安で一番分かりやすいのは、実績だと思います。「これだけの実績があるんだから、やり始めのアルバイトよりも高くて当たり前。」こう考えていきましょう。

なんとかっていう数百人受けているコンテストで優勝した、入賞した。なんとかっていうゲーム、番組に採用された、提供した。東京ゲームショウCosplay Collection Nightというイベントに3年連続でフリー配布含め提供している、などなど掘り下げていきましょう。

そういった実績を裏付けに、自分の時給を増していくといいと思います。ついでに実績を直ぐ出せるよう、ポートフォリオがあるといいですね。

私のポートフォリオはこちら

私は自身の時給を1,300円と考えてます。なので、1曲にかかる制作費は42,000円程度が最低ラインかなーと考えています。

BEPの話と被りますが、先ほどの33,000円が最低ラインなので、ここに自分の欲しい金額を上乗せします。毎月の支払いのことを考えて足すのがいいかもしれませんね。

ツイッターでちらっと見たのは、自分の思い浮かぶ請求額に対し無条件で2倍にするという話。支払い云々の計算も楽だし、いいアイデアです。

金額提示して断られたら

それでその案件は終わりでいいと思ってます。

そもそもフリーランスの場合、確定申告して自分で税金の計算して払わなくちゃいけなかったり、国民健康保険だの年金だのも実費で払ったりするんです。電車なり移動があれば、交通費も実費。どこの会社も持ってくれません。

そこを加味すると、1週間という時間を吸われて33,000円、4曲(=1ヶ月)作って132,000円の稼ぎじゃ毎月の支払いで精一杯。かなりキツい話です。

そのため、もし33,000円を割れた額が依頼料ならそれは断った方がいいです。1日5~6時間アルバイトして、ロイヤリティフリーの曲を作って出してた方がずっとお得です。ストック販売の方が長い目で見ると、稼ぎになりますからね。

もちろん「依頼をこなす」という経験も必要です。クライアントとの打ち合わせや依頼に沿ったものを提出、発生したリテイクへの対処などは、依頼からしか学べません。

アルバイト以下の稼ぎでも受けて経験を取るか、自分の支払いを考えて断るか。この辺は難しいんですが、断った方が心身共に楽だよ、というのが私の経験から言えることです。安い案件ほど追加注文が多く、時間が取られる。


制作依頼料の目安は30時間と自分の技術料

これは理想だ、こんな額じゃ依頼は来ない!ってのは確かです。でも先ほど述べた通り、アルバイトの時給を割れるような依頼料だったらむしろ来ない方が自分が助かります。

長い期間で考えると、オーディオストックみたいなところに曲ガンガン出した方が儲けになってます。Boothもイベント以外でもたまに売れてます。最近、Bandcampで音源売れた。であれば安い案件に時間使うより、そっちを補充するよね。

ちなみに30時間、1日6時間しか働かないの?と思うかもしれませんが、集中力と頭の回転を保つにはこれくらいがベストだなーというのが私の経験です。夜通しリテイクしても良いものは出ませんでした。むしろボツだったな…ハァン

ついでに、余った時間は勉強に回してください。新しい音楽を漁ってじっくり分析したり、書物を読んだり。どんな仕事もそうなんですが、クリエイターは成長を止めちゃダメです。

ということで、以上が私の考える制作依頼料の決め方でした。