オーケストラにシンセを混ぜるべき理由3つと音作りについて

オーケストラにシンセを混ぜるべき理由3つと音作りについて

私が作曲する時はよく、シンセを混ぜます。混ぜ方は様々なんですが、特にやるのはパーカッシヴな使い方だったり、パッド系のふんわりした音を混ぜたりってのが多いです。

今回はどうしてシンセを混ぜるのかという理由(ちゃんとあります)、また私がどんな音作りをしているのかをつらつら書いていきます。あれこれ試して気が付いたのですが、オケに混ぜやすい音作りってやっぱりあるみたいです。


オーケストラにシンセを混ぜる理由について

理由は次の3つです。

  1. アンサンブルに個性を作るため
  2. 売れっ子作曲家が積極的に取り入れているから
  3. シンセでしか出せない音、表現を取り入れるため

別に混ぜなくても曲は作れますし、個性も出ます。ただ、上記に挙げた理由から混ぜることへの挑戦をオススメしたいです。

まず1つは、個性的なアンサンブルが作れます。これは民族楽器を必ず混ぜる、あるいはコードワーク、あるいはスケール…という部分でも個性付けられますが、シンセを使うと手っ取り早く個性的音が出せます。ああこの音の感じ○○さんだーっていう。後ほど紹介しますが、Harry Gregson-Williamsなんかが特にコレ、という気がしています。

2つ目は先ほども1名挙げましたが、最近売れてるコンポーザがアンサンブルに積極的に採用しているという点です。いま売れている人の真似っていうのはやっぱり重要です。というのも、今時FMシンセのブラスとかでバッキング作ると「古さ」を感じると思います。これはこの音が流行った世代が90年とかの辺りのせいで、その頃を感じさせるためです。他にも古さを感じさせる要因はありますが、音の古さっていうのはあると思います。

3つ目。これは一番想像付きやすいことですが、シンセにはシンセ特有の表現力があります。ノイジーだったり、ふわふわだったり、色々。こういう部分も取り入れて表現力を高めるっていうのは大事なのかなーと思っています。

最近のコンポーザ例

まずは先ほど名前を挙げた、Harry Gregson-Williams。メタルギアソリッドシリーズにも関わった、私の大好きなコンポーザです。フレーズもですが、ギター、シンセパルスの入れ方が個性的。聞くとすーぐ分かる。でもこういう曲やりながらナルニアとか担当する、めっちゃ強いコンポーザ。どうなってるの…?

続いてはTyler Bates。”John Wick”などを担当したコンポーザで、オケ系っていうよりはEDM、ロック寄りな印象。やっぱりシンセの使い方が上手く、雰囲気がバシッと作れています。つえーなぁ…。

最後はもちろんJunkie XLことTom Holkenborg。トムおじさん、大好きです。”MAD MAX FURY ROAD”を担当したことで有名です。このサントラではオケ、超うるさいパーカッション、めっちゃ派手なシンセなど、もう私の大好きな成分がてんこ盛りです。Doofのパートはメタルギターだしね。最高です。

意外かもしれませんが、James Newton HowardやDanny Elfmanといった超大御所コンポーザの最近のサントラにも、曲の一部にシンセが混ざってたりします。”Fantastic Beasts”とか。そういった方々も取り入れるほど、最近の映画音楽にはオケ+シンセという傾向にあります。※あくまで私の見解です。

曲の初めのドローン、0:55辺りの16分音符のフレーズなどです。何やら物々しい雰囲気が出てます。やっぱりJames Newton Howardの曲はいいなぁ…完璧…。

私がよくやっている音作り4つ

私が良くやっている音作りを紹介します。フツーにプリセット使っても馴染みが悪く、あれこれと試行錯誤して、最近なんとなく物になってきた感があります。うまい人がサクッと混ぜてくるんだろうなぁ…とか思いつつ。

1個目はマリンバみたいな音です。高い音域でコンコンコン…と鳴らしたりして、リズミカルにしてます。他の大体の音作りと共通になりますが、2つのオシレータのパンを左右に振り切って、片方のFineチューニングをちょっとずらして「うなり(ビート音)」を作ってます。理由としては、単純に私がうねりが好きということと、左右に振ったパンの効果をより強くするため(ちゃんとステレオ感を出すため)の2つです。

2個目。これは他の方も良く作る音なのではないでしょうか?低い音域で鳴る、サブベースです。主に足りない音域を足す目的で出してますが、激しいフレーズの時は使わない方が良さげ。全体的にもこもこしてしまいます。なので、静かな雰囲気の中、意味ありげな低音という立ち位置で私は使ってます。

3個目はシンセパルス系、とても良く使います。取り入れたきっかけはHarry Gregson-Williamsを参考にしてますが、最早私のオリジナルの音作り…と言いたい。これはアナログ系ではなく、FMシンセとかのデジタル系の波形を使うと、結構キレよくデコデコと鳴り、かつオケアンサンブルに負けず音が抜けてきます。

4個目もたぶん良く使われます、Pad系のシンセ。ふわわ〜ん、もわ〜んとした音を良く入れます。Choirだとなんかなーっていう時、そういう不思議な雰囲気が欲しいときに使ってるかな?Padはとにかく良く使えるので、シンセ取り入れてみたいけど何入れたらいいか分からない方にオススメ。ひとまず1コード入れてみるといいかもしれません。

他にもホワイトノイズを利用したもの、ディストーションかかったノコギリ派系とかの音も使ったりします。ハロウィンコンピで出した曲なんかは矩形波で作った、カートゥーンをイメージした8bitっぽいリードなんかも入れてみました。

アンサンブルに一癖二癖と付くので、ぜひお試しください。


Youtube動画でも説明しています

実際に音を出しながら、ブログの内容を話しています。ぜひ見てください。