8dio majesticaレビュー。240人の大規模オーケストラ音源
8dioが制作、販売している240人という長大規模オーケストラ音源がMajesticaです。
出始めの頃は7〜8万円くらいだったんですが、今は4万円ちょっと($398)くらいまで落ちてます。ちょっと悲しい…。
目指してるサウンドにドンピシャな方にはオススメ、でも汎用性の低さから始めての音源としては微妙。理由も含め、レビューしました。
音源は弦・金管・木管・パーカッション
音源の内容はストリングス、ブラス、ウッドウィンズ、パーカッションになります。
全部の音源がひたすらビッグなサウンドで、とにかくビッグなサウンドです。もうそれ以外に言うことがねえ。
こんなサウンドなので、優しい、柔らかい曲はマジで作れません。
ここからは使い勝手とかそっちを書いていこうと思います。
全体のレビュー
できることは実にシンプルです。
派手な音を出す。
これに尽きます。
とは言いつつも、ダイナミクスをつけるために使うモジュレーションホイールが凄く素直に効くため、結構ニュアンスを作りやすいと感じました。
できないことは逆で、優しい音色とかは出せないです。ストリングスだと丸っこい音のピチカートとか。バルトークはあるんだが。
ついでにトリルもないです。気合いで打ち込んでください。
またどの楽器もクロースマイクの音が無いため、他の音源と混ぜると音が後ろに引っ込んでしまいます。常に音が遠いからね。
弦(ストリングス)のレビュー
ストリングスのみの弱点として、LongのSustainsを使っていると、時々ギターの様な弦の鳴り方をします。びぃぃーんって。
Legato音源は少しでもmidiノートが重なると変な音になります。後ろの音が妙に強く出てしまったり。
今まで使ってきて気になった点はそのくらいかな…。
目立って良い点は、スタッカート、バルトークピッチカートがとにかく派手にバチコーン!!!!って鳴ってくれるところ。
まさしくエピックな曲を作るのに適した音源!って感じがします。
ブラス(金管)のレビュー
金管の編成はトランペット10本、ホルン30本、バストロンボーン10本、チンバッソ10本の計60本です。
かなり変な編成ですね。なんだよホルン30本、バストロンボーンとチンバッソって。
チンバッソってのはこんな楽器です。
綺麗な低音ですが、構え方がもうバズーカですね。
アーティキュレーションもなかなか充実していて、今まで使ってみて様々な表現をするのにあまり困ったこともないです。
音域面も幅広く音が出せて、音抜けが良い割に中音域がしっかり出るため、アンサンブルに混ざってきた瞬間、全体の音の厚みがガッツリする。気がします。
ブラスの良いか悪いか微妙な点
ちなみに良い点がどうか微妙な線ですが、一部の音域がヴェロシティ70を境にホルンの音に切り替わります。
静かめにトロンボーンを鳴らしたいなーなんて、ヴェロシティで音量を調節しようとするとホルンになってしまうため、良いとも悪いとも言えない…w
チューバが含まれていないせいか、5線譜(ヘ音記号)の下へはみ出す低音はやや苦手です。音名だとC1〜F1辺り。
その辺りはコントラバス、ティンパニなど打楽器に任せたほうが良さそう。
それから、別に悪いってほどでもないんですが、ストリングスのLegatoみたいなソロ音源がないってのは、個人的にマイナスかなと。ここでトランペットのソロを…なんてことは出来ないです。
これは録音した際の位相がおかしいのかなんなのか、他の楽器とユニゾンした時たまーにフェイザー掛かった音になります。C2〜C3の間のどこかだった気がするんだけど…。
位相ズレに関してはまあ困るんだけど、私は他に不満無いです。見る人が、使う人が変わるともっと悪いところ分かるんだろうけども。
木管(ウッドウィンズ)のレビュー
木管は他の旋律楽器と違って、LowとHighにそれぞれ分かれています。ミックスする時に軽くパン振るのにもEQで整えるのにも楽ですし、他の楽器もそうしてくれりゃいいのに…。
Lowはバスーンとバスクラリネット、Highはアルトフルート、フルート、ピッコロフルートとなっていて、オーボエは含まれておりません。
なぜだ。なぜオーボエが含まれておらぬ…。
木管もやっぱりmajesticaのコンセプトらしく、非常にバシッと抜けてくる音質です。
決して木管らしい柔らかな感じは無い。これでドビュッシーのLa mar再現しようとしたら多分、荒れ狂った海になる。
弱点として、動画でも説明しましたがHighのSustainsの特定の音域で妙なアタック音が鳴ります。ふっと息を強めに吹き込むような。
Lowには無さそうですが、もしかしたら似たような何かがあるかもしれません。
…まぁここまでレビューしていて思ったのが、そういう「あれっ?録音ミスったものそのまま使ってる?」っていうのが、かえって楽曲制作時に生っぽさを与えるのかもしれません。
パーカッションのレビュー
恐らくオーケストラものの音源を選ぶ時に皆さんが一番注目するのはストリングスかと思いますが、majesticaの本質はこの打楽器群にあると私は思っています。
打楽器こそmajesticaの礎。
今までの音源も派手でしたが、特にパーカッションは度を越しておかしいです。もううるさい。
含まれている音源は(量的に)動画で確認して欲しいのですが、グランカッサやドラなどデカい物が含まれています。
別にデカいものなら入っててもフツーじゃね?と思うかもしれませんが、如何せん音が(いい意味で)おかしい。
通常のグランカッサはやたらデカい太鼓、バスドラムなので、バーンとかボーンとかそんな感じの音なんですが、majesticaのグランカッサはズドォンです。ホントに。
ドラとかもう、バカみたいに響きます。大銅鑼です。
弱点として、シンバルロールの音量をミックスする際に手動でオートメーション書かないと調節が利かない、ということでしょうか。ベロシティとかだとあんまり調整利きません。
グランカッサ含め、打楽器のほとんどがヴェロシティの調整で多少音が和らぐけど優しい音にはならないです。
エフェクタが充実してる
8dio音源共通なんですが、音源とは別にオリジナルのエフェクタラックがついていて、結構音を作りこめるんですよね。
見た目がまたゴツくていいよね。
ローパス、ハイパスフィルタが備わっていて、モードを選べばローパスが自動で開いたり閉じたりします。
コワッコワッとオートワウみたいな音が作れるんで、工夫次第ではワブルベースっぽく鳴るんでDubstepでも作れそうです。
私はあの手のもの下手だから誰かやってほしい。
またフィルタの右の方にスイッチがあって、フィルタの開閉を制御してるシーケンサを弄れます。
また、エフェクタとして用意してるSEQをオンにすれば自動でリフ作ってくれます。何パターンか用意されてるんで、考えるのがだるい時には便利かもしれません。
あとは普通にEQなんかもあるので、尖った音、低音強めなどなど好みの音が作れます。すばら。
ビットクラッシャーもあるので、結構耳に来る音が作れます。すばら。
面白いのがTRANSFORM。
PRESETから空間をシミュレートしてリバーブを作ってくれるというものですが、なんか変な空間ばかりです。タイタニックってなんだよ…w
狙って使えば良い音源
レビューでした。
音源の方向性的にどーーーーしてもエピック、トレイラーミュージック以外が苦手ですが、使いやすさは結構良い。
汎用性を求める人にはオススメできませんが、派手なサウンドを求める人にはドンピシャです。