生成AIの学習と人間の学習は全く別物でしょう、という主張です
- 2024.03.25
- 読み物
今回は本当に私個人の思うことをつらつら書いているだけですので、制作には全くと言っていいほど役には立ちません。たぶん。
生成AIの学習と人間の学習の違い
生成AIに関するパブリックコメントの募集がありましたが、現時点(2024年3月25日)では「学習させる時点では特に問題はない(超意訳)」というのが文化庁の出した素案の内容です。
色々思うことがあるのでそれはパブコメで出すとして、Xをボケッと眺めてて思ったのが「人間も過去や現在の作品から学習して制作してるじゃん」という意見。
確かにそれ自体はあってるし、そういうまとめ方をするとAIも同じってなっちゃうんですが、ぶっちゃけそれって制作をひとっつもやってない人間の戯言だなと、珍しく強気に突っぱねたくなります。
以下の点で異なります。
- AIの学習はデータとしての取り入れ、タグ付けの処理
- 人間の学習にはほぼ確実に「感情」が入ってくる
- 学習後の人間の成果物には「趣味」「嗜好」が入ってくる
大体こうです。
AIの学習はデータベースの構築
私はAIを作る業者側ではないので詳細なことは分かりませんが、プロンプトと呼ばれるAIに渡す指示とその例を見る限り、
- AIは文章、絵画、音楽を生成するときに事前に取り入れたデータにタグつけ等々を行って振り分けている
- 人の指示に従ってデータを取り出し組み合わせ生成している
って感じかなと見ています。
この生成方法はクリエイターもほとんど同じようなことを頭の中で処理していると思いますし、おそらく誰も否定しないと思います。私はそうです。
誰かが創作した音楽から学習して、あるいは誰かがまとめた書籍や知識を基に制作して、という方法はAIのそれと同じですね。
人間の場合は学習にフィルターがかかるし、創作物にも当然かかってる
ただ、人間の学習ではAIと違ったことを考えつつ学習、頭に蓄積しています。
趣味や嗜好です。
私は音楽家なのでそっちの方面で書きますが、
- 人の作品を聞いて「どういう感情を持ったか」を学習時点で頭に入れている
- ピンと来なかったものは無意識的にスルーしてる
- この音の動きは私だったらこう使いたい、こうアレンジしたい、というのを学習時点で考えている
ということを学習時点で、うっすらでも、人間ってのは思っているはずです。
完全に既存作品の模範です。というものを作らない限りは、制作している時はどこかしら自分の気持ち良いと感じる方向に音を動かしているはずです。
あるいは、自分の耳に心地よい楽器選びをしているはずです。
AIから見るとひとりの人間が制作したものってのは「タグが数個しかつかないひどく偏りがある作品」だと思います。
それが人の作るモノです。
学習にも制作にもそんな感情なんてありゃしない、という主張を強く押し通せる人はたぶん、数字第一のマーケターとかであってクリエイターではないんじゃないかなとか思ってます。
「ウケる音楽」「数字の取れる音楽」を分子レベルまで分解して組み直す機械的な制作をされている方なら、学習にフィルターが掛かっているという私の意見はぜんぶ否定できるはずです。
でもそれは、自分も人もワクワクさせられる、こっちの方が良いはずだと意見を持たない、聞いた人に何かを思ってもらえる作品を作るクリエイターではないでしょう。
AIの学習自体は悪かどうか
既に学習されてしまったので正直もう善も悪もないです。それは手遅れでしょう。
ただ、ぱっと見、ぱっと聞き「誰かに成れ変われるようなAI」を作るってのは確実に悪です。元になった人間が許可していない限りは。
なりすましは詐欺ですからね。
結局のところAIはそれを使う人間次第なんですが、その人たちはクリエイターだけにしか分からない生みの苦しみや楽しみを感じられないし、受け取る側もAIが作ったものだけで満足できるほど目耳腐ってないと思うんだよね。
どうですかね。
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