オーケストラの打ち込みでなるべく自然に鳴らすためのテクニック5つ
- 2020.08.21
- 打ち込みテクニック・Tips
物凄くカチッとした一切のズレもない、如何にも打ち込みっぽい音がとても嫌だったので、回避する方法を紹介します。
オーケストラの打ち込みを自然にするテク5つ
各楽器の音域内に納め、適切に鳴らし…っていうのもあるんですが、重要なのは下記5つです。
- ベロシティの調整
- エクスプレッションの調整
- モジュレーションの調整
- フレーズ、小節切り替わりに1/32拍子の空白
- 指揮者を意識してBPMを変更する
順に解説します。
ベロシティで音の強弱をつける
ベロシティの数値を変えると言わずもがな、音の強弱が変わります。楽譜でいうとこの、ピアニッシモやメゾフォルテといった部分になります。
特に気にしたいのが「強拍」「弱拍」という部分です。
楽譜上ではp(ピアノ、弱く)と合っても、「パイレーツオブカリビアン」のテーマみたいにリズミックな曲だと、全部同じベロシティではダメです。
単純な3連符であっても、頭の強拍と残りの弱拍に差をつける必要があります。これはなんとなく分かると思います。
また人間はそんな正確に一定の音量出せません。ので、「ヒューマナイズ」を使ってベロシティにバラツキを持たせます。そうすると、よりそれっぽくなります。
それから、ベロシティは100辺りを上限にしておきます。それ以上は音がバリバリ割れてくるので、使い方に注意が必要です。
エクスプレッションで音の強弱をつける
ベロシティと同じく、エクスプレッションでは音の強弱がつけられます。低い数値なら優しく演奏し、数値を上げれば強く演奏します。
「息の吹き込む量」あるいは「弓を引く強さ」です。0なら音は鳴らないし、最大の127にすれば全力で楽器を鳴らす。
動画の30秒あたりホルンがブワーッと来るところ、これがエクスプレッションの調節で行えます。
ストリングスもそうですが、ブラスは強く吹くと音が歪みます。「フォ〜」から「ブォ〜」「ブィ〜」になります。文字だと間抜けだな…。
この調整を行うのがエクスプレッションです。先ほどの音源のように、優しい音から激しい音に切り替えたり、あるいはフェードイン・アウトを行うのもエクスプレッションで出来ます。
もちろん使用する音源によっては、エクスプレッションがどう動くのかっていうのは変わります。マニュアルがあれば一度読んでください。
モジュレーションで音のダイナミクスをつける
エクスプレッションと併せて調節するのが、モジュレーションです。こちらはダイナミクスの調整が出来ます。
モジュレーションは基本、音量を調節できます。基本は音量だけなので、エクスプレッションみたいに音が変わることはないです。エクスプレッションが最大の「ブィ〜」という音の、音量だけが下がります。
基本的にモジュレーション、エクスプレッションは同じ数値、動きにした方が自然です。
似たようなパラメータの中に「ボリューム」がありますが、音の鳴り方、減衰の仕方が全然違います。
ボリュームを0にすると当然ミュートになりますが、モジュレーションはダイナミクスを変えるので「すっごく小さい音」「すっごくデカイ音」の調整になります。
ややこしいんですが、ボリュームは一度決めたらいじらない方がいいです。
もちろん、こちらも使用する音源によって仕様が異なります。マニュアルを読んでください。
フレーズ、小節切り替わりに1/32拍子の空白を入れる
完全に音をレガートにする場合はやらないんですが、連続する音と音の隙間をわざと作ります。
こうすることで、奏者が「次の音を演奏するぞ!」と呼吸する感じを作れます。
「指揮者がタクトを勢いよく振り上げた瞬間」というイメージです。特にフレーズ、小節の切り替わりなどに一瞬の間を設けると効果的で、演奏のまとまり、迫力、勢いがグッと増します。
休符という扱いではなく「ほんの一瞬の間」を作りたいので、BPMによっては1/64あるいは1/128拍子になるかもしれません。その辺は音をよく聴きながら、間を設けてみてください。
指揮者を意識してBPMを変更する
人間はメトロノームじゃないので、やっぱりリズムはブレます。そういった部分を再現します。
とは言っても、1曲通してブレブレにするのはめちゃくちゃ大変だし、一回崩れるとどこを直すべきかも分からなくなるので、BPMを一部分だけ変えます。
こちらも先ほどの「一瞬の間」と同様、フレーズの終わり、小説の切り替わり、トゥッティの前などの、3〜4拍目あたりで「BPMを2だけ下げる」ということをします。
指揮者がタクトを振り上げた瞬間の、ほんの少しテンポが遅くなる、ということをDAW上で再現します。
こうすると、オーケストラの呼吸を感じる打ち込みになります。
ただしこちらは注意が必要で、BPMが急に遅くなるとサンプリング音源の特性上、「一瞬音が変な鳴り方になる」ということが起こり得ます。
なので、極端なBPMの変更は避けてください。
打ち込みのコツまとめ-動画で解説
文章だけだとイマイチかなーと思ったので、動画で解説しました。13分そこそこと、ボリューム感満点になってしまいましたので、お時間ある時に。
より細かく解説すると文字量も動画も凄いことになりそうなので、紹介したテクニックは本当に触りの部分です。再三になりますが、音源によってパラメータの動きは変わりますし。
まとめると、
- ベロシティで音の強弱をつける、強拍弱拍を意識してリズミックに
- 長い音はエクスプレッションで強弱をつける
- 音のダイナミクスはモジュレーションでつける
- フレーズや小節の終わりには1/32拍子の一瞬の間を作る
- 一瞬の間やトゥッティ前にはBPMを2下げる
以上になります。ぜひおためしあれ。
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