iZotope Neutron 2の導入が命に関わる4つの理由
- 2020.08.24
- レビュー
※現在では購入できない古いバージョンです。
この記事にたどり着く人間は恐らく2種類。Neutron 2の購入に悩むバカと、ミックスに疲れてNeutron 2の自動ミキシング機能という噂を聞きつけたバカだ。
私から言わせてみれば、あれの導入は静岡県伊東市にある「城ヶ崎海岸」の崖の上に立つ様なもの。船越英一郎がベージュのロングコートを羽織り、渋い顔しながら君を説得しにくるぞ。「Neutron2はやめなさい!」
Neutron3のレビューはこちら↓
Neutron 3に全く興味が湧かない3つの理由
Neutron2が危険だという理由4つ
そんな2時間サスペンスの自殺願望者製造機(なんて不名誉な!)であるNeutron 2が、如何に危険であるか。理由は次の4つだ。
- mixingの仕方を忘れる
- 今まで買ってきたエフェクタが無駄になる
- 納期に間に合わない理由が1つ消える
- 船越英一郎に追い詰められる
最後の1つはこれから導入する君には余計かもしれない。しかし、良いですか?奥さん。貴女が今ここで、この場所で飛び降りてしまったら!!残された子供たちは話が長くなるので以下略
mixingの仕方を忘れる
とんでもない事に、Neutron 2を導入するとミキシングのやり方を忘れる、ということが起こる。Neutron 2の使い方が簡単だからだ。
普通のプラグインの様に挿すと、まずこういう画面になる。
プリセットが沢山用意されており、そのプリセットを選ぶだけでEQ、コンプ、エキサイターなどのセットが一瞬で終わる。プリセットも非常に多く、ボーカルからマスタリングまである。凄いな。
ちなみに、最も簡単で最適な方法は、噂の自動ミックス機能”Track Assistant”だ。
どこのパート、どんな具合で音を整えるのかを選択し音源を再生すると、Neutronがトラックを解析し始める。
およそ5秒後の世界がこれだ。
なんてことだ、EQもコンプも全部終わってる…。もちろん、アンサンブルを考えてパラメータの設定が行われている。どこの音域が被りやすく、どこの音域を活かすべきなのか…など。
…違うじゃん!ミックスってこう…なんかこう、悩みながらやるじゃん!!全体のバランスを考え音域をカットし、コンプで音量バランスを整え、改めてEQやエキサイターで音抜けを調整して、Soloボタンオフにしてあーやっぱりこうしよーって…やるじゃん…。
Neutronは違う。やっといてーって注文すると、はいはーいで終わる。
そんなやりとりを半年ほど続けてみると良い。人は、ミックスを忘れる。
悩み苦しみ考え、その時の答えを導き出し、そしてまた悩み、苦しみ…。それが成長である。
Neutronは違う。人の成長よりもずっと早い速度で、答えを導き出す。
やがて人は成長を止める。
成長を終えた人間の余生とはつまり、死を迎え入れるまでの猶予期間でしかないーー
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要するにNeutronが有能すぎてミキシング方法、忘れます。マジで。最近、残響系とフェーダーしかいじってねぇ。
命に関わる理由①ミックスの仕方を忘れる
今まで買ってきたエフェクタが無駄になる
DTMerの最も考えたく無い部分。それは、今までにDTM関係につぎ込んできた総額。
エフェクタもその一部、特にEQやコンプには悩んできただろう。API、CLA、SSL…。
私もWavesのPlatinum、Studio Classic Collectionと持っています。V-compやrenaissanceなど、よく使っています。
いや、使っていました。
今じゃもう、Neutron2だけ。パラメータも全部自動でやってくれるし、ちょっと気に食わなかったら自分で手を加えられるし、最高のパートナーです。
なんだったらヴィンテージモードも付いてるから、ちょっと古臭い雰囲気も再現できる。
ところが、そう簡単に新しいものに乗り換えられないのが人間というもの。
楽しい事に熱中しているときは忘れていた小中学校の恥ずかしい思い出、高校の甘酸っぱく儚い青春、大学は…大学はまぁいいでしょう、割と楽しかったし。
奴らのフラッシュバックというものは突然現れ、我々を苦しめる。初恋のあの子の顔を時々思い返し、こっぴどく振られた過去を思い出す。俺、あのときなんて言ったんだっけ?やたら残念な隠キャ丸出しじゃなかったっけ?と思い起こし頭に壁を打ち付けたくなる。
穴があったら入りたい。穴があったら、入りたい。ただし落ちた先にテーブルとケーキと不味そうな飲み物があったら気をつけろ、そこのお茶会とデブな女王には関わるな。
残念ながら穴に入る猶予も与えず、貴方に襲いかかる奴らが目の前に現れる。そう、過去に買った、使っていたエフェクタ達だ。
俺を使え俺を使えと襲いかかる。果たしていくら使ったんだ…と自責の念が地から湧く。段々、変な汗が止まらなくなり、呼吸が荒くなるだろう。
Neutron 2に現を抜かす貴方の余計な脂肪贅肉をバンドパスフィルタでカットし、むっちむちに膨らんだ、あるいはダルンダルンにたるんだ腹や顔にコンプがかかり、平べったくつまらない顔に足りない倍音成分を付加し始め…。
なんて素敵な奴らなんだ。できればやってもらいたいものだ。
ちなみに、今までのエフェクタは別に無駄にはならない。Neutron 2を基準に、コンプ加減が気に食わなかったら似た様なパラメータを設定して、いつものコンプを使えば良い。EQも然り。
ただまぁぶっちゃけ、Neutron 2があれば十分な気がする。まとめた方がメモリ食わないし、楽だもん。
命に関わる理由②今まで使った額とエフェクタにころされる
納期に間に合わない理由が1つ消える
楽曲制作に置いて困ってくるのが、「ミックスのために音をスピーカから出せる時間帯」。家で作業する人は特にね。
昼間なら特に気にせず音量を出し、音をよーく聞いてじっくりミックスができる。じっくり聞いてエフェクタをかけられる。
ところが夜中に作業、あるいは直しが来るっていうのもぶっちゃけ日常茶飯事。スピーカから音を出そうもんなら、隣の家の住人がうるさい!と怒って殴り込んで来るだろう。もしかすると壁を叩き割って突撃して来るかもしれない。ハンマーではなく、プリウスで。
しかしここがクリエイターの頭の使い所。
「大変申し訳ありませんが、時間帯の都合上、音を出せる状況ではないため、ミックスに取りかかれません。明日の〇〇時にリテイクをお送りいたします。ご了承ください」
こればっかしはもうしょうがないもん。許せディレクタ、プロデューサ。メール送ったら朝まで爆睡。なんだったら、ちょっと時間多めに見積もってキチンと寝てしまっても良いかもしれない。
だがNeutron 2はそうさせてくれない。いくつか選択してボタンを押したら、スッと音源を整える。時間かけることもなく、音もなく。いや音は鳴るか。
Neutronが音を整えたら、あとは音量バランスと残響の調整だ。さすがにスピーカで音を確認するから夜中には無理だが、そんなに時間は掛からないだろう。多めに時間を見積もるのも心が痛む。
自動ミックスのせいで作業時間の短縮が半端ない。1トラック辺りの時間短縮が尋常じゃ無い。20トラックくらい処理しても、カップ麺を待つ時間くらいで終わる。
そうなると、彼は仕事早いからーとどんどん依頼が来てしまう。あのミックスやっといてー、この制作よろしくー。カップ麺ばかりの生活、睡眠時間の短縮。体はいずれ悲鳴を上げるだろう。
6人組アイドルグループのミックスとかもう、地獄だった。
6人分のソロ+6人合わせたサビ+コーラス2人分。EQなどの音を整えるのはもちろん、ピッチ修正からリズム補正。なぜかマスタリング済みのものしかもらえないオケとバランスを合わせる。どうして2mixの段階のものをもらえないんだ。
しかもこれを3曲、納期は1週間後!勘弁してくれ…。
頭の中で想像のオタクたちがリズムに合わせてサイリウム振る姿と合いの手「ハイッ!ハイッ!」、そして自分が一番補正に苦しんだ部分のループが2週間ほど止まらなかったのは、言うまでも無い。
便利さも考えものだ。
命に関わる理由③仕事量は増えたのに納期を早められる
船越英一郎が止めに来る
Neutron2の余りの便利さに苦しんだ人間が訪れる最後の地、城ヶ崎海岸。
仕事は来ても生活の破綻から心身ともに壊れた貴方が、ふとテレビで見たこの美しい景色を、見たくなったのかもしれない。
あるいは、2時間サスペンスで崖の上に立った未亡人に、自分の姿が重なったのかもしれない。
自然と重くない足取りで、崖の上に立つ。
もう一歩先へ進めばきっと、楽になれるだろう。
「あんた、それで良いと思ってるのかい?」
低く、落ち着いた紳士の声が、足を止めた。
振り返るとそこには、スーツ姿にコートを羽織った、刑事が立っていた。
「あんたがミックスした音源、どこで使われてるのか知ってるかい?」
最早どうでもいい事柄だったが、視線と足は、自然と彼の方を向いていた。
「彼女らのファンが毎日、楽しんで聞いているよ」
刑事がクイと親指を後ろに向ける。
そこには沢山の人が、立っていた。
ハチマキ、法被、サイリウム、チェック柄のトップス、シャツインされた薄い青のジーンズ。一目でわかる。オタクだ。
「ここで人生辞めちまったらよ、彼らが泣くぜ?”俺らに感動をくれた人が1人、死んじまった”ってよ」
太陽登る美しい太平洋へと轟く、無数の声援。
自然と漏れる、嗚咽と涙。
それはまるで、うどんを煮立てた鍋が噴きこぼれるようなーー
…全く要らん茶番で文字数稼ぎました、すいません。何が言いたかったんだろうか。
命に関わる理由④無理矢理ひねり出したネタで文字数を稼ぎたくなる
音源の比較とまとめ
最後に、とりあえずいつもの方法でミックスした私の音源と、Neutron2でミックスしたものを貼ります。条件を揃えるため、ミックスはどちらも1時間でやっています。
明らかに、Neutronでやった方が時間内で良いミックスになってます。音域が非常に広く、ダイナミクスも生き生きしてる。逆に私がやった方は…いいやもう…。
ひたすら便利です、Neutron 2。短い時間で最適な音作りが快適に行えます。
これに加えてOzone 8も使えばもう、打ち込みが終わった時点で楽曲制作は終わったも同然です。ソフトウェアの進化ってすごいねー。
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