Neutron 3に全く興味が湧かない3つの理由

Neutron 3に全く興味が湧かない3つの理由

興味がなかったから、今日までレビューを書くのをためらっていた。なんだって、AIが自動でトラックボリュームをいい塩梅に調整しやがるエフェクタらしい。

自動でいい感じにーなんて、そんなこと出来る訳がないだろ。TARSじゃあるまいし。お前もガルガンチュアにデタッチすんぞ。

世間では大変な賑わいを見せるこのエフェクタに、私が全く興味が湧かない理由を3つ、紹介しよう。


興味が湧かない理由3つ

諸君らはApple社製の大根おろしとほぼ同時期に公開されたこいつを買っただなんだのとツイッターで盛り上がってるが、私は俄然、興味がない。

理由は以下の3つだ。

  1. よく分かんないAIにトラックをいじられたくない
  2. 堕落した人間になんかなりたくない
  3. iZotopeに支配されたくない

このエフェクタの売りはやっぱり、「AIによる自動ミキシング」になるだろう。

なんだい?AIって。我々の世代をなめてないか?記憶媒体が外されるごとに言葉がおかしくなり歌い始めるAIだの、最終的にはそこにいた人間全員を騙して自由を手に入れたAIだのを見て育った世代ぞ??奴ら怖いんだぞ???

人間を追い詰めるAIをマシンに入れるなんて、正気の沙汰じゃない。スカイネットにハッキングされるぞ。そんな危ないものに興味を持つ訳がないだろ。

よく分かんないAIにトラックをいじられたくない

これが私の腰を重くする一番の大きい理由だ。

何やらメインの機能を活用すると、各トラックのボリュームをぐいぐいっと動かして、なんかいい感じな塩梅に整えるらしい。

なにそれ、怖くない?そりゃ確かに自動オートメーション(二重な気がする)機能あったらめっちゃ楽だけどさ。やっぱこう、漠然と怖いよ、それ。

トラックに挿してみた様子。画面はまぁ、Neutron 2と大差ない。ここまではおkだ。

今回、お目当の機能は右、BALANCE

いつも通りにMixAssistantを押すと、画像のような全く見覚えのない画面になる。

初手、「慣れたサイトを開いたらハッキングを受けていて知らないURLに飛ばされた時の顔」になった。変なポルノサイト開くんじゃないかと。

そしてよく見て欲しい。説明を見ると“I’ll”から始まってる。一人称で喋ってんぞこいつ…!私の記憶のエクス・マキナが動き出すからやめてくれ。計画的に電源落とされるぞ。

ちなみに、Neutronで整えたいトラック全てに挿す必要があるので、そこそこマシンスペックがいるということは補足で添えておく。

そして実際に動かすと、こうだ。

「曲を初めから最後まで聞かせてください」
「曲が終わったら結果を微調整してください」

あなたはこの文章を見て、どう思っただろうか?曲を頭から再生しろ。それで分かるし、作業も終わるというのだ。

私は怒りに震えた。

聞いただけで全体を決められるなんて、そんなわけはない。もっとこう、時間かけてあーでもないこーでもないピッコロオーボエお前音量でけえんだよバーカバーカって言いながらやるんじゃないの??はぁ?って思いながら試した。

曲の再生と共に作業は終わった。ごめん、いい感じだわ。

こうも簡単にことが終わると、HAL2000に博士が指示を出し、ささっと答えが帰ってくるシーンを思い出す。難しい計算はコンピュータが終わらせて、博士たちはランニングで良い汗をかく。そんなんで宇宙の探索ができるんだから凄い。ミキシングは軽いランニング中に終わる時代。

しかしある時、HAL2000は事もあろうか真っ白な探索機を勝手に動かし、宇宙遊泳している博士の1人を、宇宙の虚空に追いやってしまうのだ。HALの計算に疑問を持ったニンゲンが、自身を壊す可能性を見出したからだ。

もしiZotopeの開発したAIがこうだったら?

「演算結果に不満を持つと消される」

彼らに慣れて、「まぁこれくらいなら俺にもできるし、要らねえんじゃねーかな」なんて思い始めたが最後。オレンジの悪魔による逆襲が始まるんだ。再生して処理を任せていると急に音量がバカでかくなって、あなたに迫り来るぞ。ニュートロンは伊達じゃない。そうなったら素直にインターフェースのノブ、下げような。

興味ない理由1・Neutronに逆らえなくなる

ちなみに左、TRACK ENHANCEを選ぶと、見覚えのあるいつもの画面。こっちは安心だね。

堕落した人間になんかなりたくない

ここからは肝心の性能の話。

今回はトラックが用意できなかったので、ぜひ公式ページよりDEMO版を落として試してください。

https://www.izotope.com/en/store/lp-deals/neutron-3.html

これがまた、とんでもない。

トラックをいい感じにコンプ・EQかける機能に併せ、各トラックの音量をいい感じに揃えてしまう。ボタンは一つ、作業は二つ。

それも各処理時間は数分、曲を頭から再生するだけ。

絶 対 怠 け る じ ゃ ん ?

処理中はひまだし、ミキシング終わるの早いから時間余るし。どうする?スラ爆する??

人間という生き物は大変愚かで、怠け始めると、とことんまで怠ける。どこまでも堕落する。Neutronに依存する。そのうちめんどくさくなって、細かい処理だってまーいいんじゃねえかな?なんて思い始めて、最終的には挿して処理任せて、終わる。楽だもん。納品までのスピードが上がりそう。

段々堕落した生活を続けると、そのうち体が虫になる。軽く寝よっかなーと思うにも良い姿勢が見つからず、仰向けとなる。呼ばれてドアを開けると、相手は堕落しきったあなたの姿を見て恐怖におののき、リンゴを投げつけるだろう。

そして背中にめり込んだリンゴが原因で、あなたは死ぬのだ。

「聞きました?奥さん。先日亡くなった引きこもりの彼、リンゴが背中にめり込んだ状態で見つかったんですって」「まー怖い。青森に逆らえないわね」

興味ない理由2・堕落しすぎて虫になり、リンゴに殺される

まぁ、ひまな時間ができたら、なんかしら勉強する時間に回すといいんじゃないかな。仕事が楽になるなんて最高ね。

ちなみに、BALANCE機能はどこかのトラックを中心に整えるので、メロディラインがいろんな楽器に移るオーケストラには向いていないということを添えておく。やろうと思えば使えるとは思う。

どちらかというと、主旋律があっちこっちいかない歌物やインスト系のほうが向いているかな。

iZotopeに支配されたくない

私のブログの熱心なファンなら、もう知っているかもしれない。私は既にiZotope関連を2記事公開している。

Ozone 8を絶対に買ってはいけない理由3つ

iZotope Neutron 2の導入が命に関わる4つの理由

そして、今日に至るわけだが…気づいただろうか。私のMacbookには既に、彼らの開発したAIが3体も存在しているのだ。

あるものはコタツとミカンと冷蔵庫をセットで用意し、あるものは自殺を止めに来る船越英一郎を用意する。そして今回のこいつは、我々を2度殺しにかかってくる。そんな状況、どうしろと。

私はもう、手遅れだ。iZotopeのvstが、compornentがMacの深い部分に根付いている。徐々にSSDを支配し、DAWを支配し、作った楽曲を支配する。私の曲を聴きやすくトリートメントして、出力する。ああごめん打ち込みもよろしく。

だから油断してはならない。

我々はiZotopeの便利なAIたちと闘わなければならない。我々は堕落をもたらす神に対抗しなければならない。神をも殺す力を以って、奴らの息の根を止ねばならない。我々の命を守るために。

私?もう生まれ変わったから。存在がiZotopeみたいなもんだから。AI最高よ。

興味がない理由3・生まれ変わって存在がもはやiZotope


Neutron 3は強力な武器

正直、便利でした。どこかのトラックを中心に音量を整えるので、歌物ポップス作る人にとっては、だいぶ時間節約になると思う。要スペック。

オーケストラ系の人はどうしてもメインがあっちこっち行くから、あんまり向いていないかな。

iZotope、次はどんなものを作ってくるんでしょうか?楽しみです。

Neutron 3
iZotope Neutron 3 Advanced ¥44,000
※画像クリックでサウンドハウスの商品ページにジャンプします