GullfossというEQに制作の実権を与えてはならない理由4つ

GullfossというEQに制作の実権を与えてはならない理由4つ

声を大にして言えないが…これだけはハッキリと言える。Gullfossを貴方のMac、あるいはWindowsへの導入は即刻辞めるべきである。

そもそも名前からして大変奇妙である。読み方がグルフォスかと思いきや「グトルフォス(グットゥモッスと聞こえなくもない)」だ。アイスランドに同名の滝があるそうで、検索するといっぱい出てくる。

アイスランドの滝だぞ?そんなものをPCに入れたら部屋どころか団地数棟が水没するし、動作を止めたら過冷却のせいでカチコチ凍り始める。なんて危険なソフトウェアだ。実権を与えてはならない理由を紹介しよう。


Gullfossとはリアルタイムでイコライジングするエフェクタである

酷い脅しをかけたがひとまず安心してほしい。インストールを行ってもWindows10起動時に採用されそうな美しい滝の壁紙にはならないという事実である。この壁紙を気に入りましたか?

起動すると次の様な画面が現れる。

真っ青で線が一本、フェーダーもないスッキリした画面だ。このままだと何の処理も行わず、実害はない。問題はこのパラメータだ。

詳細は後ほど書くが、この5つのパラメータが我々の音源を無残な姿に変えてしまう。各パラメータの動きは次の通り。

  • Recover:ロー、ハイを強調しミドルを抑える
  • Tame:ミドルを持ち上げ、出過ぎる帯域を抑える
  • Bias:プラスにするとRecoverを強調、マイナスにするとTameを強調
  • Brighten:ハイ〜プレゼンスの調整
  • Boost:ゲインの調整

※若干違うかも。詳しくは公式サイトのマニュアルをご参照ください。

これらのパラメータを調整すると、Gullfossなる瀑布野郎はトラックをリアルタイムにイコライジングしやがる。

しかも1秒間に100回もの周波数応答を繰り返す爆速っぷりで、足りない部分から出過ぎた部分からどんどん調整していく。楽器の重ねすぎで膨らみがちなミドルも、モニターがちっちゃくて見えづらい60Hz以下もガンガン調整してしまう。

なんて野郎だ。我々の大好きなラーメン二郎をGullfossに見せたら何が起こるか。暴力的な背脂とチャーシューは日清ヘルシーオフと鳥の胸肉(皮なし)に置き換えられ、ニンニクは一欠片に減り、歯ごたえ抜群ごんぶと麺はそうめん並みになるだろう。そんなラーメンどうだ?めちゃくちゃ不味そうだろう。絶対嫌だ。

今のところ、現実のものの補正までは行えない。しかしTwitterに「今日のDTM活動」と称し、ラーメンの画像を挙げている諸君らは重々気をつけるべきだ。

諸君らのアップロードしたDTM活動が、何やらスッキリさっぱり健康的なものに差し替えられている可能性が無きにしも非ず。我々の健康面までイコライジングする日が来るかもしれない。それいいなぁ。

実権を与えてはならない理由1:健康面のイコライジングされる可能性あり

RecoverとTameについて

まずはRecoverについて。
こちらはパーカッションに挿してRecoverを4割程度上げてみた様子。ローとハイが調整されているのが分かる。再生するとリアルタイムに処理が行われ、不足しがちな80~20Hzのガンガン調整してくれる。

同様に、2mixのマスターに挿してみた。左側のアナライザはGullfossを挿す前のもので、ミドルを抑えつつロー、ハイを調整しているのがよく分かる。プレゼンスが妙に強調されているのは前段にアナログテープシミュレータを挿しているせい。これは順番の設定が必要。

続いてTame。

今度はTameでパーカッションの調整。さっきとは逆に、ミドルを持ち上げてロー、ハイを抑えてる。

2mixでのTame、ミドル〜ハイが調整されている上、2kHz辺りの急なピークを抑えてる。Bias、Brightenは先のほどの説明の通りで、上記の様に動作する2つを調整して音を整えるというのが使い方になる。

また、一回分析してEQを設定する系とは違って音に合わせてリアルタイムに処理を行うため、トラックを処理した結果を別トラックに録音していく、というのが良いのかと思う。

すっげぇ便利…じゃなくて、とても危険だ。

これまでめんどくさいめんどくさい…と言いながら書き込んでいたオートメーションが必要なくなる。スネアがパッカーンとすっぽ抜けた時にボリューム下げたり、微妙に使いにくいオートコンプなんかに頼ってみたりする必要もなくなる。おい待ってくれ、今までの苦労は何なのだ?イコライザー風情がコンプよりも自然なコンプレッションを作る気なのか?

こんなのチートだろ。垢BAN待った無しだ。いやこの場合は垢BANではなく、使ってないEQ類の抹殺だろう。彼らが何をしたっていうんだ。使われる日を待ちながら、ちょっとPCの容量を圧迫しているだけじゃないか。さようなら、純正EQ!

実権を与えてはならない理由2:使っていないEQたちが日の目を見ることがなくなる

実際に使って比べてみた

まずはコンプ、EQ、Ozone8といつも通りのマスタリング。

こちらはEQをGullfossに置き換えて、Ozone8のEQをオフにしたもの。

設定はだいたいこんな感じ。

やはりリアルタイムに処理していくからか、自分で設定したEQよりもめっちゃスッキリしますね。ははは…

…こうやって、いつの間にか自動処理系のエフェクタに実権を握られていくのですよ。苦労して書いたオートメーションを代理で行っていき、DTMer達から苦労を取り除き、ぐーたらしてる間に処理が終わり。我々の尻をひっぱたくオートメーション書き込み作業を削減していくなんて、はぁーありがてぇーーーー。

実権を与えてはならない理由3:オートメーションの書き込み作業が要らなくなる

Gullfossは人類の寄生先

ここまで読んだ諸君らにはもう、分かってもらえただろう。Gullfossを導入するともう2度と、今までの生活には戻れない。ぬるま湯の滝壺まで真っ逆さまだ。

整えるのが難しい生録の音は全てGullfoss。2mixの最終バランスを整えるのもGullfoss。ラーメン二郎で取りすぎたカロリーを抑え、使ってないEQ達は削除、オートメーションの苦労からオサラバ。こんな便利なものに依存しない訳がない。

詰まるところ、DTMやってる諸君らは数年以内にGullfossという母なる存在に依存することになる。「おいBBA!勝手に部屋入ってくんじゃねえ!!」という高圧的態度ではなく、「すいませんお母様、この音源の処理をこの様に…あ、やっぱりこんな感じで…ありがとうございます!ありがとうございます!!」と下手に出る他なくなる。

我々がそんな下手に出ていいのか?そんなはずがない。DTMer達はいつだってドヤ顔自信満々、俺の曲を聴け!という態度でなければならない。それなのにGullfossとかいう、あれもこれもといい感じにやっちゃうエフェクター1つに手玉に取られてはならない。そうだろう?

君ならばどうする?ちなみに私は買う。もうすぐデモ期間終わっちゃう。つらたん。僕を置いていかないでGullfoss様。

実権を与えてはならない理由4:依存する


Gullfoss1つでより聴きやすい音を簡単に作れる

全くもって誰向けの、どこの層向けの内容なんだか分からないブログを書いてしまった。この記事も補正されたに違いない。

どのくらいミドルを出して、どのくらいロー、ハイを抑えてという加減こそ自分でやるが、Gullfossのリアルタイム処理で簡単に聴きやすい音作りが行えます。手間以上の音が作れるので、これは買って損しないものだと言い切って良さそうです。手間を省くことは制作速度に繋がりますからね。

ちなみにマニュアルは公式ページの「Support」からpdfが落とせます。日本語版もあるという親切っぷり。どこまでもお世話を焼いちゃう系EQですね!

ということで、Gullfossのレビューでした。