UA APOLLO SOLO Heritage Editionのレビュー・個人用としては必要十分以上!
- 2022.11.30
- レビュー
内蔵DSPで動作するエフェクター、インアウトのAD/DAコンバーターやプリアンプが優秀と噂のAPOLLOを購入したので、せっかくなのでレビューしようと思う。
結論を書くと、自宅で使うオーディオインターフェースとしてはこれ以上ないくらい「ちょうど良さ」を感じた。必要最低限でありながら、目指すところまで行ける感があるというか。
とはいえ不満点がいくつかあるので、そこ込みでレビューしていく。
全体的な評価としては7/10点くらい
10点満点での評価でFocusrite Scarlet 2i2クラスを5点としたら、7点くらいのオーディオインターフェースかなと感じている。減点理由としては以下。
- 大きなメインとなるのDSPが足りない
- インアウトのゲイン量をワンタッチで操作できない
「DSPが足りない」というのは後ほど書くが、専用のアンシミュ2つも立ち上げたらそれ以上は何も挿せなくなるくらいカツカツなので、ここは減点多め。話を聞いていたのであんまり落胆はしてないものの…。
スピーカーアウト、ヘッドフォンアウト、インプット等のレベル操作がワンタッチでいけないから減点。若干の主観が入ってるが、これは実際の運用面で不便なのは誰もが感じそうなので減点対象に入れてる。
※専用のコンソールアプリ上で動かせるので実際は不便しないが、フィジカル操作がやりにくい。
個人的にはインプットが背面にあるというのも減点なんだが、これはほんと個人的なことなのでとりあえず無視。
値段、個体の大きさ、音質などの面からもうちょっと詳しく紹介しようと思う。
値段はエフェクタ混みなら妥当
私が購入したのはThunderbolt3タイプで、USBタイプより若干値が張る方になる。
個人的に持つオーディオインターフェースとしては高価で、元値は10万円近くもする。黒金セールで約7万円。
RMEのベイビーフェイスよりは安く、AntelopeのZen Goとどっこいくらいと考えると、まぁ安いの…か?っていう。そういえばRMEやたら品薄だけどどうしたんだろう。代理店問題?半導体関係?
ただ、Heritage Editionだと初めから以下画像の右側に列挙した分のエフェクタが入っており、どれも高品質なのでそこを加味するとだいぶお安いのではと感じた。
EQ、コンプ、リバーブ、アンシミュ等々が入ってて、UAD製やらsoftube製やら単品で買ったら幾らになるんだろう…というものがこれだけ入ってる。
後述のDSP足りない問題でこれを全部同時に挿すことはできないんだけど、それでもかなりお買い得であることには変わらんなと思う。
私のお目当てNEVE系が入ってなかったので買うが、追加で買う場合は1つあたり50%OFFになる。助かるわ。
大きさはよくあるサイズ感
銀色のガワが頑丈で重いからなんとなく大きく感じるが、おそらくFocusrite Scarlet 2i2よりちょっと大きいくらいだと思う。
キャノンの口が箱の上下目一杯という縦幅、横幅もごく普通の2イン2アウト程度。
あえて不満を出すとしたら、上側にスイッチ系統やインジケータがあるせいで物を置くとかちょっとした台の下に置くとか、そういう省スペースができない点くらい。
ゲイン量等々は専用コンソールアプリで操作できるけども、置くスペースをしっかり確保しないとツマミ類は使えないってのはちょい不便かな。
音質は並、レイテンシーは結構低いと感じる
音質の良し悪しって主観が思いっきり入る部分だし、私の場合はそもそも部屋を作り込めていない・スピーカー類が5万円台という環境なのでレビューもどうなんだ…?という。
一応レビューすると、個人で使う分には申し分ない音質で取れるし、出音が妙に脚色されることはない。
試しに初めからついているアンシミュを10万円くらいのFender Japanで使ってみたところ、本物さながらの音が出せたのは結構驚いた。
シングルコイルだと歪ませたら絶対に出るノイズも本物のアンプっぽいチリチリノイズなので、そこ込みで満足してる。要らないノイズだけど、これがあるとよりそれっぽいんだよね。
ちょっと前まで使ってた同社VOLTと比べると、インアウト共にどことなく温かみが足されて奥行きが分かりやすくなった…かも?流石にコンバーターの質が良いのかしら。
とりあえず、導入しても音質が劇的に変化することはないが悪くなることもないので、安心してほしい。
レイテンシーについて計測はしていないが、直挿しでギターを弾いた感じは全然遅れない。もちろんDAWでももたつく感じはない。
この辺りはさすがに5万円以下台のインターフェースよりは速いみたいだ。
DSPはマスタリング用途向け
ガチガチの現場の人が読んだら私の頭に向けて機材を投げつける気がするが、読んでないことと住所がバレていないことを祈りつつ書く。
冒頭でチラッと書いた通りで、DSPで動作するエフェクタ個数の限界がかなり低い。具体的な画像を持ってきたので以下を見てほしい。
専用のコンソール直にアンシミュを1つ置いた状態。この時のDSP使用率は以下。
もう半分近く使ってる。というかそもそもMacと繋いだ時点で10%ほど使っているという。
使ってみて、EQ等々は大体4つ前後でDSP使用率がピークにいくことが分かった。限界を超えるとエフェクタがオフ(正確には接続が切れる)になるので、DSP使用率を管理しながらエフェクタ量を調整することになる。
気をつけたいのが、専用エフェクタを指すとDSP使用率が上がるので、マシン依存のVST等は関係ない。
ということなので、専用エフェクタでステムミックスやるぞー!と意気込んでも全然DSP足りないじゃん!!!となる。
マスタリングならEQ1つ、コンプ1つ、マキシマイザー、あと場合によりけりだがトータルリバーブを掛けるだけ(ここで怒られる気がする)なので、マスター用途ならDSPは間に合うかなーと思った次第。足りないなら通常のVST使うしね。
DSPエフェクタに魅力を感じ今使ってるエフェクタと総入れ替えだという狙いだとかなり痛い目に遭うので、それはできないよーというのは予め知っておいた方がいい。
ただ一応、専用エフェクタがめちゃくちゃ気に入ってもっと使いたい!という人向けのDSP拡張機があるので、もし余裕があるならセット購入すると良い。
コンソールアプリがすごく便利
さっきからちょくちょく書いている「コンソールアプリ」とは、インターフェースの接続時に絶対に必要なものなので付いてくるアプリのことだ。
アプリ上でインプット・アウトプットのゲイン量、インプットのローカット等々すべてを操作できるので、インターフェース側のボタンやツマミなどフィジカル操作は実際やらなくていい。
またインプットトラックにDSPエフェクタを挿せるので、ボーカルの収録用エフェクタをセットしてからDAWに流し込むというのもできる。DAW側のレイテンシーを抑えられるということ。
他にも色々できることがあるみたい。
こればかりは安いオーディオインターフェースではできないことなので、購入する上で一番気にするべきメリットかなと思う。コンソール目当てで購入しても良いくらい便利だ。
総評:家で制作する人にとってはこれ以上ないインターフェース
正直このApollo Soloは個人向けにしては十分すぎるほどに十分だと思う。持て余すくらい。
まとめると、
- ステムミックスでDSPエフェクタを使う目的だとガッカリする
- 専用のコンソールアプリが非常に便利
- インアウトの音質は十分
となるかなと。
5万円以下台のインターフェースに戻れないくらい気に入っているものの猫に小判状態なので、使いこなしてやろうと思ってる。
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