【シンセ入門】シンセキックの簡単な作り方(スクラッチで紹介)

【シンセ入門】シンセキックの簡単な作り方(スクラッチで紹介)

前回は私オススメのシンセサイザーを紹介しました。
【シンセ入門】プラグインシンセサイザーおすすめ6選

今回からは実践編で、実際に音を作ってみましょう!という話になります。
まずは覚えておくと色々と応用が利く「キック」の作り方です。


作り方まとめ

ざっくりとまとめると、以下の手順でキックは作れます。

  1. サイン波をPitch-24で用意する
  2. Sustainを0%、Decayを30~50ms程度にしておく
  3. 短めのモジュレーション(LFOやエンベロープフィルタ)を用意してサイン波のPitchと接続する
  4. モジュレーションでサイン波のPitchを-12から-24に向けて降下するようにセットする
  5. ホワイトノイズにバンドパスフィルタをかけ、200Hz付近が強調されるようにセットする
  6. ホワイトノイズも最初にセットしたサイン波と同じSustain、Decayにする

これである程度パンチを持ちつつキックとして使えるサウンドになるはずです。
画像付きで詳しく解説します。

サイン波のセッティング


まずはサイン波をセットします。
ここで大事なのはDecay短め、Sustain0%と、プラックサウンド(ポンっと短く鳴るサウンド)にしておくことです。


次に、オシレータに初めからくっついているエンベロープフィルタとは別でエンベロープを用意します。※LFOでも同じことはできます。
このエンベロープもまた、先ほどサイン波でセットしたような短めDecay、Sustain0%とセットしておきます。
長さの設定が済んだら、このエンベロープをサイン波のPitchに接続します。


Pitchは元の音程を「−24」、エンベロープによるスタートを「−12」にします。
Midiノートを入れた時に、−12から−24に向かって降下するようにしてください。
Phaseplantを使っている場合は、サイン波側のPitch付近を右クリックすると上の画像のような窓が出るので設定しやすいです。

ここまでセットできたら一旦鳴らしてみてください。
大体鍵盤のC4あたりを押すと「トンッ」と良い感じにキックっぽい音になってるかなと思います。

アタック音のセッティング

ここまでで一応キックっぽく鳴るとはいえ、ちょっとパンチが足りないかなと思います。
そこでホワイトノイズを少し足します。
色々試したんですが、ホワイトノイズのような音程感の無い雑音の方がパンチが足されるかなーと私は思います。


ホワイトノイズをセットし、バンドパスフィルターも併せてセットしました。
バンドパスフィルターのCutoffは200Hz付近にしておいてください。幅はお好みで。


最初に作ったエンベロープをホワイトノイズのSustainと、バンドパスフィルタのQ値に接続します。
SustainはMidiノートが入った時に0%から100%になるようにセットします。
またバンドパスフィルタのQ値は大体0.8~4くらいになるようセットします。この辺は若干好みがあります。
音作りのイメージ的には、Midiノートが入った瞬間にホワイトノイズがなり、Q値がグッと上がって200Hzが強調される。という形です。


色々やってみて、私はこんな感じが好みだなーになりました。

ここまでで実際に鳴らしてみてください。
程よく「ドンッ」という音になったかなーと思います。

もうちょっとパンチが欲しい時は?

ここまでの音作りは超基本的なキックサウンドの作り方です。
ジャンルやアンサンブル次第ではちょっと物足りない音になっている場合もあります。
そこで、もう少し存在感のある音に変えてみましょう。

ここからは自由研究なので、私だったら、というものを紹介します。


まず基本のサイン波にPitch-17のサイン波を足しました。(5度上の音です)
エンベロープによるPitch降下の設定は0〜−17です。
パワーコードと同じく基音+5度にすると結構良い感じに圧が生まれるので、これはよくやります。
もうちょっと倍音を立たせてしっかり聞けるようにする場合は、ノコギリ波にしてローパスフィルターをうるさく鳴り過ぎないよう調整します。

エフェクターも追加しています。※分かりやすいように横並びにしています。
コンプでアタックをギュッと潰すとパンチ力が増すかなと思います。
またディストーションもちょっと強めにかけることで音にジリジリ感が付くので、これもまた存在感が増すかなーと思います。

この音作りの応用編

今回の音作りで覚えておくと便利なことは、モジュレーション(今回だとPitchを落とすために設定したエンベロープフィルタ)の使い方です。
このエンベロープが分かっていれば、同じ打楽器にカテゴライズされるものはほとんど似たような方法で作れます。
スネア、タム辺りなんかは想像が付くかなーと思います。


たとえばスネア。ごちゃごちゃと並んでますが、やっていることはキックと同じです。
実物のスネアには「スナッピー」という、金属のザラザラした音を付与する器具がついています。
また太鼓の縁(リム)を叩く音も一緒に鳴らすことがあります。
それを再現するような波形、設定を行えばスネアっぽい音になります。

私の作ったスネアは以下の動画で音が聞けます。


また最近のHiphop界隈で人気な「808」という音も作れます。808とはドラムマシンのTR-808のキックサウンドを伸ばして作るベースサウンドのことですね。
先ほどのキックを作ったら、ベースの音を鳴らす設定をした別のオシレータを追加するだけです。
サイン波だと倍音がなさすぎて埋もれちゃうので三角波にしてます。

808は以下の動画で音が聞けます。


他にもギターっぽい音を作る時に、ピックを引っ掛けた瞬間を再現するためにPitchを−2降下させるようにする、などの使い方もあります。
エンベロープフィルタによる降下は何かと便利な音作り手法なので、ぜひ覚えておいてください。