この記事は、15年くらいDTMでの作曲を続けてきた私の経験から考える「まさに今から作曲を始めてみたい!」という人が何をすべきかといったことをまとめています。
結論を書いてしまうと、「何も学ばずに今すぐDAWソフトなんでも良いから落として尺とか気にせずに作品を生め、1年ぐらい作り続けろ」となります。
なんでそんな乱暴な結論になるか、座学はしなくていいのか、といったことを書いていきます。ご興味あればこのまま読み進めてください。
作曲したい、音楽を作りたいならとりあえず作れ、の意味
冒頭で「何も学ばずに今すぐDAWソフトなんでも良いから落として尺とか気にせずに作品を生め、1年ぐらい作り続けろ」と書きました。
これは、
- 私生活で「想像したもの」を形にする行為はほとんどやらない
- そういった行為は習慣付けしないと身につかない
ということから述べました。
普段から物を作る人は「何をどうしたら得たい結果に辿り着くか」を、経験で知ってます。
でも一度も作曲したことのない人は経験がないので、何をどうすれば良いかもわからず、結果まで辿り着けません。
だから座学を、と思うかもしれませんが、音楽の場合は(というかほとんどのクリエイティブの場合)座学で得られる知識は制作の上では補助にしかならず、結局は自分の脳をフル回転させて「産む」他ありません。
コード進行や楽器の奏法などを学んだところで、自分が作りたいと思ってる曲は作れませんってことです。
作曲をしたことがない人の脳は、音楽を作る思考が養われていません。
また、一度思いついても脳に留める力もありませんし、どうにか思いついても思っているような物をアウトプットできません。思ってるメロディが形にできない、というのはあるあるです。
だからこそ「思いついた物をどんどん形にする」を実践して、物を作る脳にする必要があります。
そして一年くらい制作を続けていく頃には、音楽を作る脳筋が付くはずです。
DAWソフトの使い方はマニュアルを見ておく
何かしら作ろうと思っても、そもそもDAWソフト(作曲ソフト)の使い方が分からないんじゃ本末転倒です。
作曲するのに最低限の操作を書いたマニュアル、ないし誰かの解説はあるはずなので、まずはそこを読んでみましょう。
ちなみに、これから作曲を始めるという人にオススメのDAWは以下の通りです。
- Garage Band(iOS, Mac専用)
- Korg Gadget(iOS, Mac, Windows※)
- Studio One(Windows, Mac)
- FL Studio(Windows, Mac)
- Logic Pro X(Mac)
- Cubase(Windows, Mac)
- Ableton Live(Windows, Mac)
※Korg GadgetのWindowsは、別でDAWが必要みたいです。
上記のソフトは、追加で何かを買わなくてもとりあえず事足りるソフトです。
「操作が簡単」「ユーザーも多い」と言ったことから選んでいます。FL Studio以下4〜7番目はちょっとクセあるけど。
ただ、ボーカロイドといった外部のソフトを使いたい場合は、Studio One以下の、3番目以降のソフトでないとダメなことに気をつけてください。
ちなみに、私のようにオーケストラ系の音楽を作りたいという愚か者には、Logic Pro XまたはCubaseがオススメです。
何年か経ってDAWそのものに慣れてきたら、Reaperをオススメします。
巨大になっていくプロジェクトの管理、打ち込みがやりやすいです。
音楽制作のコツ・ハードルを下げる、夢を見ない
「全然尺が足りてない(めちゃくちゃ短い)気がする」
「とりあえず作ってみたけど、こんなの理想の音楽じゃない」
「2曲目以降が全く思いつかない」
作り始めてみると大体こういった悩み、壁にいきなりぶつかると思います。ここで諦める人も多いかなと思います。
でも、あなたの脳はまだ音楽脳じゃありませんので、諦めることを諦めてください。黙ってパソコン、楽器の前に戻ってください。
これは作曲初心者にありがちかなと思うのですが、「作曲を始めるきっかけになった曲と自分の曲のクオリティの差がひどい」と感じること。
当たり前です。
あなたは作曲人生0歳です。ミルク飲んで排泄して寝るという原始的な行為が精一杯です。
対して、憧れのアーティストは作曲人生20年を超える大人です。作曲歴1年以内だというアーティストはおそらく、楽器など作曲以外の音楽活動歴が長いはずです。
0歳児が大ベテランに勝る音楽を作れたらガッカリじゃありません?
あなたはむしろ0歳であることを誇りに思ってください。成熟した大人はもう特定のジャンルしか得意じゃないのに対し、あなたは可能性の塊です。なんでもできます。
また、2曲目以降が思いつかないという人。
これは1曲目の思い入れがメンヘラよろしく重すぎるか、1曲目に良く似た物ばかり出てくるか、どっちかでしょう。たぶんね。
2曲目も似てる曲でも良いと思います。好きなアーティストの曲も、なんだかそっくりな曲が多かったりするはずです。
これってむしろチャンスで、曲聴くだけであなたの作品だと覚えてもらえるということです。
既に個性が滲み出てる才能の獣だと自分を褒めてください。
ちょっと番外で、自分の好きなアーティストのパクリ、知ってる曲のパクリっぽいものしか作れないなぁという人。私です。
何がどうとは言わないのですが、
- モンスターハンターの「英雄の証」
- John Williamsの「Superman Main Theme」
ざっと聞いてみてください。自信が持てます。
ということで、作曲し初めの頃の作品のクオリティなんてそんなもんだと諦めて、ひたっっっっっっっすら作り続けてみてください。
苦行だなぁと感じるのはナンセンスです。だってクリエイティブなんてどれも苦行だもん。
苦行を超えた際に楽園が待っているのがクリエイティブです。まあ、その楽園も一瞬で終わるんだけど。
どうしても1mmも思いつかない場合
どんなに考えても、パクリスレスレの音楽すら思いつかないという人。
この人は音楽をちゃんと聞けていない可能性があります。
一度、自分の好きな曲を冒頭から思い出してください。思い出せますか?
思い出せない人は音楽をメロディだけ、歌詞だけで曲を聴いていませんか?
「歌の後ろで何かがわちゃわちゃ鳴ってる」くらいの印象しかない場合、そもそも音楽をちゃんと聞けていません。
なので、まずは色んな曲をカバー(演奏)することから始めてください。
好きなアーティストのバンドスコアを買って、がんばって楽譜を読みながら音を聴いて、自分の手で演奏して再現してください。
演奏する楽器のオススメは、メロディも和音も色々役割を担える「ピアノ」「ギター類」です。
ベースやドラム、管楽器なども良いんですが、作曲するならば上記の2択かなと思います。
自分で演奏する内に、音楽の構造(音の重なり方や使われる楽器とそれぞれの役割)をなんとなく理解し始めると思います。
そうなってくると「パクリ曲」もようやく作れるはずです。
誰だってパクリは発生します。意識的にしろ、無意識的にしろ。
というかアンタ誰よ?って人と曲が似ることだってありえなくはないです。世界規模で見たらどんだけ作曲者居るんだか。
でもパクれたってことは、耳が良くなったこと、音楽を理解し始めていることの裏返しです。
生成AIやサポートツールに頼る人
それはあなたが思いついた音ですか?自信持って言えますか。
そもそもなんの為に制作をしたいと思ったんですか?
一度、考え直した方が良いでしょう。
一年後の話
ここまで、本当に今から作曲を始めるという人向けに取り組むべきことや理由などを解説してきました。
まとめると一言で、「今すぐこの記事を閉じてDAW開いてなんでも良いから作り続けてみよう」です。
曲数問わず、制作を一年も続けていれば立派な作曲家になってるはずです。
で、一年後は何をしたらいいか?というと、その頃には自分の課題が見つかっているはずなので、ようやく座学に移ります。
具体的にいうと、音楽理論や楽器(演奏可能な音域、奏法など)を学んでいくこと、DTMならではの機材やソフトについて学んでいくこと、です。
本屋に行ってそれっぽいものをどんどん読む、でも良いんですが、最近はYouTubeの動画が非常に充実しているので、色んな動画を見ながら知識のインプットをしていくと良いかなと思います。
一応、私も初心者向けの記事は書いています。
音楽理論の勉強におすすめな本・動画
DTM初心者が知っておきたい8個のお得な話
作曲を始めるぞという方には以上となります。
とにかく作る、脳を鍛える。思いつかない人は楽器の演奏から始める。
ぜひ頑張ってください。