「カッコいいオーケストラ曲」Epic Orchestral Musicの作り方

「カッコいいオーケストラ曲」Epic Orchestral Musicの作り方

※2020年2月7日追記:最新版を公開しました!https://merrybad.com/how-to-make-epicmusic/

Two Steps From HellやImmediate Musicといった、いわゆる”Epic Orchestral Music”が私は大好きなんですが、私なりに作り方のコツなんかが分かってきたような気がしています。

実際に自分で作った曲を使って、どんな要素が必要か?どんな風に作るのか?というのを解説します。

あくまで私の解釈なので、参考になったりならなかったりします。そこはご了承ください。


Epic Orchestral Musicの要素について

何を持ってEpicとするか、正直まだよくわからないところはありますが、大体次の通りです。

  1. 編成人数がやたらに多い
  2. クラシックというよりロック、EDM的な要素が多い
  3. メロディがクサい(カッコいい)

編成人数はやっぱり多いです。ストリングス、ブラスからクワイアまでいたり。加えて、クラシックな曲というより、どことなくロック寄りなリズム、EDM的なシンセの音などがガンガン入ってきます。もちろんオーケストラだけでカッコよく聴かせて来るものもあります。そして何よりメロディがクサい。クサメロ。もうだめ、好き。

という以上の要素から、制作に使う音源は次の通り。

・大編成のオーケストラ音源(Symphonyなんちゃらって音源が大体それ)
・ドラム、シンセ
・シンセのサンプル(あると便利)

この辺りがあると非常に作りやすいと思います。それでは実際の楽曲で解説します。曲は私の作った曲、This is my fateです。

Youtube版はmidiノートがみれます。

1・フレーズ(リフ)を作る

この手の曲だと、結構リフで構成していることが多いです。ゼクエンツ的な考え方になるんでしょうか。

淡々としたものより、リズミックな方がそれっぽくなります。スネアやタムが無くてもリズムを感じるように、頑張って打ち込んでます。

特に意識してるのが、あまりコード進行させないこと。リフをリフっぽく聴かせるなら大体そうだと思うんですが、ベースラインはほとんどルート、あるいはコードトーン。バイオリンなどの上物でグイグイ行くようにしています。

それから、こういう力強い決めフレーズなんかも使っていきます。この曲のサビは楽器のソロのアウフタクトでスタートさせたいってのがあったんで、特にこういった強いフレーズで一度流れを止めて、空白からのメロという流れにしています。ポップスでもありがちですが、よりメロディが際立つ便利な手法です。

2・メロディを作る

メロディはあまり音符の詰まってない、1〜4分音符くらいの長いメロディで作ることが多いです。コード進行も少ないので、もしかしたらメロディ先の方が進めやすいかもしれません。

個人的なセオリーですが、8分音符や16分音符などのメロディを作るときはバッキングをゆったりしたもの、バッキングが早い時は今回みたいな1〜4分音符くらいの長いメロディ、という風にしています。

3・サビこそコード進行で動かしていく

曲の1番の聴かせどころ、サビについては、リフではなくコード進行させていきます。これは、コード進行の持つ力「感情の動き、情景の変化」を利用するためです。

曲通してずっと進行がコロコロ変わっているとその分、曲の雰囲気は絶え間なく変わって行くと思います。逆に、ここぞというところで進行感を出すと、より際立ってくれます。もちろん絶え間なく変化する曲というのも面白いので、そこらへんは曲のテーマで使い分けられたら面白いのかな?と。

今回の曲は非常にシンプルに、”♭VI – ♭VII – i – V”という、上昇系の進行にしています。サビ終わりで♭IIとかも使って、グワッと変化させてます。

4・パーカッション類をぶち込む

Epic Orchestralというと、やはり重く響く太鼓です。入れていきます。色んなやり方がありますが、「ここぞ!という時のデカい1発」「リズミックにするための連発」の2種類使ってます。

フレーズの切り替わり、曲の終わりなど、ここでデカくインパクトが欲しい!というところでは、とてもよく響く単発ものをドンと入れています。

また、曲を通してリズミカルにするために、ほぼ常に鳴らす太鼓もあります。こっちに関しては、ミックスの際にあまり前に出さないよう、低音も響きすぎないようにしておきます。

パーカッションはやり過ぎるとうるさく、かといって鳴らさな過ぎるとEpicとしては物足りなくなります。この辺のさじ加減がものっ凄い難しいので、編曲の際に一番最後に混ぜて行くといいかもしれません。なるべく弦、金管、木管などで成り立つように曲を構成して、そこにインパクトを付けるために乗せて行く…という具合に。

これも、先にリズム隊を完成させた方が楽って場合もあるので、なんとも言えません。色々試してみてください。

5・シンセでより鋭い曲にする

Trailer musicなどでよく聞く「ドゥー…ン」と低く沈んで行く音、シンバルの代わりに入れて行くズバァァァンと派手な音、ストリングスの補助として入れる鋭いノコギリ波…などなど、シンセの音を足していきます。今回はワブルベースなんかも作って混ぜてみました。

特に効果的なのは、「雷や爆発音みたいなワンショット」「フェードインしてくる音」などでしょうか。そういったものをフレーズの切り替わりぎわに入れて行くと、より派手な音楽に聞こえてきます。もちろん、混ぜすぎ主張しすぎに注意です。

またシンセでなくとも、例えばエレキギターでもめっちゃ歪んだベースでもいいし、とにかく「カッコいい音」を混ぜてカッコいいと思える音楽を作ること、を試みてください。これを混ぜると混ぜないとでは、音の迫力が俄然変わってきます。


またしても動画解説しました

自分の口癖って「ちょっと」「まぁ」なのかなって、編集しながら気づきました。コミュ障かよ…

ぜひ制作のヒントになれば幸いです。