プロダクション・ミュージック・コンポーザー(業務用・商業用音楽家)になりました
タイトル通りなのですが、今年は晴れて(?)プロダクションミュージックコンポーザーというモノになりました。なんだか長い肩書きですね。
以前まではストック販売(買い切りの著作フリーBGM)をフワッとやって時々依頼を受けて…みたいなフリーランスのコンポーザーだったんですが、一応の肩書き??が付くようになっちまいました。
何をする音楽家なのか、どういう経緯でなったのか、と言ったことを、2024年活動報告も兼ねて書いていきます。
プロダクション・ミュージック・コンポーザーとは
おそらくその中でも細かく分類されていると思うのですが、私の場合はテレビ、ラジオ、ネット番組といった「メディアで使用する音楽を制作する音楽家」のことになります。
ニュースを読み上げている後ろで流れている曲とか、ドキュメンタリーやらなんやらで流れている曲とか、ああいうのを作る作曲家です。
また、私の作っている楽曲は分類として「ライブラリーミュージック」というものになります。
ちなみに、よくバラエティ番組とかだと某キャンプアニメの劇伴とか、有名映画の劇伴とか、そういったものも使われることがあります。
もちろん私はアニメも映画も担当していないので、そっちの作家ではないです。
あくまで、メディアで使うためだけの音楽を作る作家です。
若干地味でthe裏方みたいな職種ですが、私的にはなかなか面白く制作させていただいております。建前とかではなく本当に。
プロダクション〜の収入は主に「印税」です。
JASRACやNextoneといった著作権管理団体から制作会社にお金が行き、私に分配される。といった形になってます。
色んなところから出してるので一応は毎月の収入にはなってるんですが…この辺りの話は後ほど書きます。
成った経緯
そんなプロダクション〜になった経緯ですが、私の場合はおそらく特殊です。
冒頭でもチラッと書いたのですが、元はストック販売がメインでした。
そこで私を知った方が「ライブラリーミュージック出さないか?」と声をかけてくださって、まぁとんとんと進んでみたいなパターンがひとつ。
また、友人がライブラリーの会社と話す機会があって「こういうやつがいて…」みたいに紹介してもらって、のパターンがひとつ。
あとはストックとして出してたものの契約形態が変わって、いつの間にやらライブラリーになってたというのがひとつです。
こうやって見ると最早、運としか言えないですね…w
ただ、ストック販売を地道に続けていたことと、私なりにニーズやジャンルを考えて出してたことが一応、功を奏した形ではあります。って言いたい。
もちろんライブラリーを出している会社は表立ってコンポーザー募集!と出していることはあるので、そこからという方法もあります。
ただ私の場合は上記の通りで、スカウトされたりいつの間にやらライブラリー化してたりパターンでした。
スカウトは、その会社がまだ始まったばかりだからあり得たという話なので、今後も同じような経由は難しいかなぁ…とは思ってます。
いずれにせよ、表に出していくことと続けることは大事だったなと思います。
作っている音楽はどんなものか
私の場合は、
- エレクトロニカ(ニュース系)
- オーケストラ物(ドキュメンタリー系
が主です。()内の「系」というのは、おそらくその辺りに属する、という話です(使われ方次第なのでなんとも言えない)。
ライブラリーは自主的に曲を作って出すことのほうが多いと思います。
アルバムコンセプトをもらって依頼を受けて作ることもあって、その時には明確にこういうものを作ってくださいと言われます。
ただ、いずれも「BGMとして使えるものを作る」という部分では共通していると思います。
BGMとして使えるものというのは、具体的には「大きな展開をしない」「強い主張がない」楽曲です。
たとえばハリー・ポッターのテーマ曲なんかは静かに始まり、めまぐるしバイオリンが入ってきて…途中でガラッとリズムが変わって…みたいな内容になっています。
これはBGMとしてはNGです。ないし、テーマ性が強すぎるからライブラリーとしての汎用性がないので、扱う側が困るかなぁと思います。
ライブラリーとして、BGMとして作る音楽は曲の頭から終わりまでが一貫していて、リズムチェンジやらクライマックスやらがないもの、である必要があります。
こちらは私の実際にライブラリーとして出している楽曲ですが、ちょうど上に書いたような形になっています。
私自身、展開があるもののほうが好きだしそういった楽曲もライブラリーとして出してはいます。
ただ残念ながら現場的には使いにくいみたいで、ライブラリー制作の依頼では展開しないもので、と来ます。
収益化までに時間がかかるし精神的に来る
これが正直な悩みどころです。
ライブラリーは先ほどもチラッと書いた通り「印税」が主な収入です。
流れとしては、
- 楽曲を制作し、ライブラリーを管理するレーベルに提出する
- レーベルが著作管理団体に楽曲を登録する
- レーベルがメディアに楽曲を売り込む
- 実際に使用され、管理団体に報告がいく
- 管理団体が年4回で使用状況に応じた額をレーベルに送る
- レーベルが作家に報酬を出す
となります。
各段階でどれくらい時間がかかるかはなんとも言えないんですが、作った楽曲が実際のお金になるまでに大体1年のラグがあります。
かつ、書いた通りで印税は年4回しか手元に来ないので、一般社会人のような毎月でお金を計算するというのが難しくなります。
1回の収益を3で割ればひと月分にはなるんですが…次の収入まで時間が3ヶ月開くのは少し怖いですね…。
今年作った楽曲たちが実際の収入になるのは来年以降となってしまう上、じゃあどれくらい入るのかというのも蓋を開けるまでは…というものになります。
ライブラリーミュージックを増やしても、実際に使ってもらわないと収入にはなりませんからね。
こうやって整理すると、かなり精神的に来る業種と言えますね。
私の場合は一般社会人やりながらライブラリーを増やしていって…だったのでまだマシですが、逆にそういう形で制作していないと生活できませんでした。
「夢の印税生活」ってのはまさしく夢かもしれません。まーだまだ程遠いです。
年にどれくらい楽曲を作ったか
ライブラリーとして提出したのは、今年は27曲でした。今年中にリリースされたのは内15曲です。
ライブラリーミュージックを作り始めたのは2021年からで、今日までに80曲ほど出してます。
スタートアップの会社から出してるのもあって収益化はだいぶラグがありましたが、一応今日までに収益になったなーというのは80曲のうち4曲程度です。
20曲作って1曲当たるか、というペース。えっっっっっっぐいな…。
もちろん、最初はライブラリーミュージックとしてのあるべき姿みたいのが分かってなかったし、作ってるジャンルもかなりニッチだしなど、色んな要因が絡んでいるのは事実です。
とはいえ20作って1つはきっついね。
今年はかなりそういう「あるべき姿」を強く修正された年だったので、来年以降に出す楽曲はもっといい感じに使われると信じて制作していきたいです。
今後の目標というか
今年は収入としても堅く、かつ依頼も増えたので「プロダクションミュージックコンポーザー」を名乗ってもまぁ問題ないでしょう多分、になれました。
ので、来年は技術面をもっと手堅くして信頼されるコンポーザーになろうと思います。
それをやりつつ、5曲入りミニアルバム程度で、プロダクションからは離れた自由な発想の自主制作を出せたらなーとか考えてます。
少しくらいはアーティストっぽい活動をしたいですね。
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