ミキシングのやり方解説【イコライザー・リバーブの掛け方など】
- 2020.09.12
- 打ち込みテクニック・Tips
- エフェクター, テクニック
私がいつもやっている、オーケストラ系楽曲のミックス方法を解説します。
必要なものはリニアEQ、リバーブくらいです。あれば良いなーってのは、サチュレーションです。あと集中力。
さすがにプロのエンジニアレベルのものは無理ですが、だいぶ聞きやすくなるので、ぜひ実践してみてください!
大前提の話
以下2つのことに注意して、読み進めてください。
- 私のやり方なので絶対的な正解ではないこと
- 編曲、オーケストレーションが悪いといくらやっても効果がないこと
特に2つ目が重要で、ミックスやっても中音域の厚みが感じないーとか、低音が思っているように出ないーとかはもう、編曲ないし音源のせいです。
ミックスはあくまで余計な帯域をカットし、音を同じ空間にあるようにまとめて、全体のバランスを整える「調味料」のようなものです。※今回のやり方の場合は。
そのため、ミックスをがんばってもなんかなーってのは、アレンジが悪いんです。改めてください(戒め)
ミキシングに必要なエフェクタ
必要なものはリニアEQ、リバーブです。
一応あると良いものは、サチュレーション、コンプレッサー。
よほどのこだわりが無ければ、正直Waves Goldで事足りるんですよね。
ちなみに私はアナログコンソールをシミュレートした”MIXBUS”を使ってます。
ちょっとオーディオオカルトみたいな話ですが、通すだけで音が良くなるので気に入ってます!!!!!本当に通すだけだから!!ね!!??
要はアナログEQ、アナログコンプ、サチュレーションの効果を得られるって感じですね。
そんなに高くないDAWなので、ぜひ。
https://harrisonconsoles.com/site/mixbus.html
ミックスの手順
順番は次の通りです。
- サビ(一番盛り上がる箇所)で全体の音量バランスを整える
- EQで余計な音をカットする
- リバーブで全体をまとめる
- 仮マスタリングを行って全体をチェック
また、私はエピック系を良く作るので、ドラムをちょっと工夫してます。これも紹介します。
全体の音量バランスを整える
まずは楽曲の一番盛り上がる箇所、サビをループさせながら、全体のバランスを整えます。
オーケストラは基本的に楽器が良い感じに混ざってこそなので、何かが出過ぎている感がないようにするのが良さそうです。
また、なるべくなら参考楽曲を聞きながら、どの楽器がどのくらい出ているかーというのを確認しつつバランスを見るとやりやすいです。
このときヘッドフォンだけを頼らず、モニタースピーカー、PCに元からついているスピーカなど、色んなところから音を出してチェックすると良いバランスになります。
サビのバランスが良くなったかなーと思ったら全体を通して聞き、イントロやアウトロで意図してない音量バランスであればオートメーションで整えて…ということをしましょう。
ちなみに、この時点でサビのピークを大体-10dBくらいにしておくと、この後に行うイコライジングなどで音量がガッと上がっても、歪む心配がないです。
EQで余計な音をカットする
イコライジングは以下、3段階で掛けます。
- 鳴ってない低音域をカット
- 意図していない音をリダクション
- プレゼンスをブースト
順に説明します。
鳴ってない低音域をカット
鳴っている楽器の基音(演奏しているノートの周波数。A4なら440Hz)より以下、特に鳴らしていない音域をカットします。
アナライザーで確認して、基音の周波数がわかったら、それ以下をカットするようにハイパスを設定すればOKです。
画像例だと212Hzが基音だったので、それ以下をカット。これを全部のトラックでやっていきましょう。
ほっとくと全部のトラックが重なった時にモワモワ鳴って聞きにくくなるので、しっかり削ってくださいね。
意図していない音をリダクション
ストリングス、ブラスなど、セクションごとにまとめたバストラックにリニアEQを挿します。
ノッチフィルタやQ値をめっちゃ狭めたEQで、余計な音をリダクション(音量をがっつり下げる)していきます。
ちょっと難しいのですが、各セクションをよーく聴くと「こ〜ん」とか「ほ〜ん」とか、自分が絶対に打ち込んでないであろう音が聞こえるはずです。
その音域、帯域を先ほど用意したノッチフィルタで、その余計な音を消してあげます。
-12dBなど、かなり大胆にカットしちゃっても、トラックに大きな影響はないので思いっきりやっちゃってください。
プレゼンスをブースト
ここまで余計な音をカットし終わったら、最後にプレゼンスをブーストします。
20kHzを6dBほどガッツリ上げちゃいます。割と分かりやすく上げた方が、効果が出ます。
私はここでMaag MAGNUM-KのAir Bandを良く使ってます。気持ちいい上がり方なのでオススメです。
https://www.plugin-alliance.com/en/products/maag_magnum-k.html
ドラムに工夫を加えてちょっと迫力を足す
主にバスなどの太鼓類にDecapitator、Sub filterを掛けます。
ちょっと歪ませつつ、30Hz以下のサブベースをちょっと足してあげます。
あんまり大胆にやると変な目立ち方をするので、エフェクターをバイパスしても大きく変わらない程度がちょうど良いです。
リバーブで全体をまとめる
リバーブはERとTailに分けて掛けます。
正直、私の耳だと分からないんですが…ERとReverb(残響音)が混ざる部分を残すとミックスに影響が出るんだとか。
ER部分には、コンボリューションリバーブを使って、ドライと残響をオフにし、ERだけを使うようにしておきます。
現在、一番オススメできるものはALTIVERBですが、私はWavesのIR1を使って、Todd-AOのデータを読み込んでます。安いからね!
ERは以下3つに分けます。
- Close…指揮者から見て一番近い楽器群。Predelayを40msに
- Mid…金管、木管群。Predelayを25msに
- Far…指揮者から見て一番遠い楽器群。Predelayを8msに
これらのアウトプットをTailリバーブに繋ぎます。ERをオフにしたリバーブですね。
TailにはExponential Audio R4を使ってます。
ややアナログっぽい丸い音なんですが、すっきりしているので採用しました。こちらは結構気に入ってます。
これらを、楽器の各セクションからSendで繋いであげます。バイオリン群はCloseに、木管・金管群はMid、パーカッションはFar。
また各ERのSend量は以下数値を目安にします。若干前後しますが、大体このくらいが大袈裟なリバーブ感もなく、程よいかなーと思います。
- Close…30~50%
- Mid…60~70%
- Far…80~90%
ERに通るとドライ感が薄くなるのでそこを聞きながら、適度なウェット感を見つけると良いです。
これは感覚的な部分もあるので文字にするのがむずかったです。すいません。
仮マスタリングを行って全体をチェック
ここまで終わったら仮マスタリングを行って、改めて全体のバランス感を聞きます。ヘッドフォン、スピーカー、スマホ…などなど。
こてこてにマスタリングを行う必要はなく、Ozone 9などで簡易的に済ませるのが手早くて良いかなーと思います。
どこかバランスが悪いなーと感じたら、0.5dB単位でそっとフェーダを動かすとミスが減ります。
確認が終わったら仮マスタリングに使ったエフェクタをオフにして、バウンスしてミックスは終わりです。お疲れ様でした!
動画で解説しました
実際に手を動かしながら解説しました。なんかサムネ、呆けた顔してんな…。
書いている内容と同じなのですが、やっぱり実際に見た方が分かりやすいので、ぜひ見てください。
最後に、参考にした動画を紹介します。
一番初めに見た動画。主にポップスのミックスをしてますが、手順が分かりやすいので良く見てます。
お馴染み、Spitfire AudioのChristian氏の動画。もっと大胆なオートメーションかけてますね。
Hans Zimmerのミックスを担当したことのあるエンジニア、Alan Meyerson氏の解説。完全に収録音なので若干参考にならないかも。
Satoshi Noguchi氏のミックスの話。今はこれを一番参考にしてます。っていうかほぼまんま。
Spitfire AudioのPaul Thomson氏の、リバーブの解説。必聴必見。
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