KORG volca(nubass, keys)のレビュー・DAWに入れてみました
- 2021.10.07
- レビュー
ニンテンドースイッチLiteくらいのサイズしかないアナログシンセ、KORGのvolcaを手に入れました。
小型ながらアナログシンセの基本構造(LFO,OSC,Filter,ADSR)を搭載しつつ、シーケンサーも搭載しているので、単体でミニマルテクノも作れるという。フツーにすごいよな…。
今回はvolcaのレビューというより、DAWに入れてどうか、といったことを書いていきます。
簡単なまとめ・机の占有面積少なめで音は十分にゴツい
取り入れてわかったことまとめ。
- 音の厚みがしっかりしてる
- ソフトと比べて直感的に音を作れる
- プロジェクトファイルが軽くなった
- 大きいやつと比べるとどうしても劣る
といったところでしょうか。
nubassとkeysを持っているので、別々に紹介していきます。
volca nubassはまさにミニマルテクノ向け
nubassは名前の通りベースシンセなんですが、1OSC+sub OSCというシンプルな構成で、真空管でオシレータを歪ませられるという特徴があります。
もう一つのvolca bassはオシレータを3つ搭載、真空管がないタイプで、他はかなり似てますね。
ただベースシンセと言ってもエレキベースやコントラバスみたいな立ち位置でなく、TB-303的な「リズムシンセマシン」みたいなものです。
というのもロングトーンがめちゃくちゃ苦手なんですよね、こいつ…。
DAWに入れた感じではサスティンが短めで、後で紹介するkeysよりも音が丸く感じます。
サスティンについてはモジュレーションホイールを動かし続けるとかすれば引き伸ばせるんですが、それでもどんどん減衰するので、そもそも短めの音でフレーズを構築する用に作られてるんでしょうね。
なのでDAWで使う前提で言うと、プラック系などショートノートが欲しい人にはオススメです。私はよく使う音なのでめっちゃ重宝してます。
ちなみに1OSCだからなのか、元々ベースシンセを謳っているからなのか、高音になるとちょっと頼りない音になるので低〜中音域に使うのがオススメです。
まとめ。
- プラックなどショートノート向け
- ロングノートは出せないので「ベースシンセ」としての活用は難しい
- 真空管搭載でガッツリ太い音が出る
volca keysは万能機
keysはポリフォニック、ユニゾン、オクターブなどの音が出せるアナログシンセ。
波形は固定なので音作りの幅は狭いのですが、丁寧に音を作れば88鍵盤すべて網羅できる安定感があります。なんならベースシンセとしてもよさそう。
特にお気に入りなのが、UNISONモードでDETUNEを整えた音。少しの揺らぎが良い感じに音の厚みを生んで最高な感じです。
これで波形をもう2種くらいあれば…とは思うんですが、それはこのサイズに求めることじゃないですね。
1台で色々できるので、ハードシンセを安く始めたい!という人は満足できるんじゃなかろうか。
ちなみにnubassもそうなんですが、ソフトシンセと比べてかなり音の帯域を占有する感があり下手にシンセをレイヤーすると大変やかましくなるので、ソフトの立ち上げをだいぶ減らしました。
volcaを1台導入するだけで、ソフトシンセを数点クビにできます…って書き方はなんだかなぁって感じだけども、本当にコレ。
単純なフレーズでも存在感を発揮するので、トラックを減らせます。
まとめ。
- 波形は1種だが音作りの幅は広め
- 音の安定感があり88鍵盤しっかり使い切れる
- DETUNE搭載で素晴らしい
DAWとの同期に必要なもの・同期方法
volcaにはMIDI INとヘッドフォンアウトがあるので、これらを使って同期します。
必要なもの
- MIDIケーブル
- ミニ-フォンケーブル
- ACアダプタ
複数台に同時にMIDI INする場合はスルーボックスとかが必要になります。
また使ってみてわかったんですが、DAWで制作するときは電池よりACアダプタの方が安心できます。
電池の消費が気持ち早まるのか、1時間の制作で半分あった電池容量がかなり減ったんですよね…。
DTMはどうしても長時間の作業になるんで、安定を求めてACがあると良いかなと。
ACの規格やケーブルサイズは公式サイトをみてくださいね。
設定方法
- DAWの設定でMIDI OUTをセットしておく
- MIDI OUTを設定した鍵盤かオーディオインターフェースとvolcaのINをつなぐ
- volcaのヘッドフォンアウトをI/Oのインプットにつなぐ
- DAW内で外部MIDIトラック、オーディオトラックを設定
外部MIDIトラックの名称はDAWによるので調べてくださいね。
打ち込みで気をつけるポイントは特になかったので、セッティングさえ済めばあとはフツーのシンセって感じです。
ちなみに私はこういう専用ケースも用意してみました。
ツマミが上を向いているので、多少の傾斜がないとどうしても操作しにくいな…と感じたので導入したんですが、これかなり良いです。何よりかっこいいw
複数台導入を検討している方はぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
導入に向いている・向いていない音楽ジャンル
まず向いてるなって感じたものはハウス、テクノ、ダブ、チルなど「シンプルなシンセサウンドを求める系」のジャンル。
比較的かわいらしい音なのでチップチューン系やってる人も気にいるかも。ガチの8bit系シンセ使いには合わないけども。
またアクセントとしてオーケストラものに混ぜるのもやりやすいです。最近の劇伴をイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。
向いていないだろうなと感じたのはトランス、ダブステップ、フューチャーベースなど「派手なシンセサウンドを求める系」のジャンル。
レイヤーとしてvolcaを入れる分にはありかなーと思うのですが、どうしてもああいうソフトシンセで作り込んだ音というのは作れないので、不向きだと思います。
またMINIMOOGのゴム板を連想するごんぶとサウンドも出ないので、ファンク、ネオソウルにもあんまり役立たないかな…という気はします。
ソフトの代用になるかなーと試してみたんですが音はあくまでもガジェット、おもちゃシンセなんですよね。
とはいえDAWとの連携、工夫次第でこういうサウンドを作れちゃうんで、使う人次第ではあります。
ハードシンセの導入としてvolcaは良いと思う
小さいので設置しやすいし、音はしっかりアナログシンセしてるので、ハードシンセ使ってみたいんだよねーって人にはオススメ。
ただしサイズから音作りの幅は狭く、Moogなどの個体がでっかいものと比べたらそりゃ音の太さは今ひとつです。サブベースにはできないかなぁ。
ですので、DAWに入れる前提で話すなら、ハードシンセは楽しそうなんだけどメリットがイマイチ分からないし、デカイものは置けないし…みたいに悩んでいる人向け。あくまで入門って感じでしょうか。
ただまぁ、実機を手にした人なら伝わると思うのですが、自分の指で直接動かすというソフトじゃ絶対に得られない面白さ、シーケンサーで永遠に音を出してフレーズを構築していく楽しさを味わえますので、個人的には難しく考えず買って欲しいですね!
こういうモチベーションアップ効果もあるってのは、やはりハードならではです。
動画での解説もしました。こちらもぜひどうぞ。
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